事故の相手

第1話

カーナビの指示する山道は、ずっとゆるい下り坂で、ユミは頻繁にブレーキを踏んでいた。







気がつくと、以外にスピードが出てしまっている。







せっかくユミとスノボに来たのに、ゲレンデも、カチカチだったな・・・。






夕べ降ったらしい雨と。


今日のひどい冷え込みで。







(転んだら骨折れんじゃない!?)ってくらい、硬いゲレンデだった。







まだまだ転んでばかりの私は、早々に凹んでたし。








初心者マークで都内まで運転するユミも。







「暗くならないうちに帰ろっか」って、早めにゲレンデを出てきたんだけど。







さっきから、







「こわいなぁ~・・・つるっつるなんだ・・・」







って、慎重に運転するユミを。







免許ナシの私は、代わってあげることもできずに、心配してるだけで。







それが・・・







(あっっっ!!!)って思った瞬間・・・・







『ドンッ!!グシャ!!』






ユミの車は、前を走っていた車に突っ込んで止まった。






悲鳴とも取れる声を上げながら、ユミが運転席から慌てて飛び出して行く。




(えっ⁈…大変っっ!ど、どうしようっっ…)


動揺しながら、私も急いで後を追った。







「はあっっ!?何してんだよっっ!!」







怒鳴りながら降りてきた、前の車の男性は。







「すみませんっっっ・・・!!」って謝ってる私とユミを無視して、ぶつけられた凹みを確認してる。







横から見たり。


膝をついて、下を覗き込んだり。







それからスマホを取り出して、いろんな角度から写真を取って。







「はあぁ~~・・・」って、落胆の声を漏らしながら、やっとこっちに目を向けた。







普通に前を走っていただけの車に、後ろから追突してしまったユミは。






「すみませんっっ!ブレーキ踏んでたんですけど、止まらなくて・・・本当にすみませんっ‼︎」







ユミと私、半分に折れ曲がって、ひたすら頭を下げた。







(・・・絶対、怒られる・・・)


怖くて小さくなってるユミと私に。

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