第8話

焦りと後悔を抱えながら、美咲を探し回る俺の前に・・・







『なにか』







が降ってきて、コロコロ転がってる。







(・・・はっ?・・・卒業証書・・・!?)







びっくりして上を見上げる。







「フフッ、バ~カ!」







二階の非常階段に・・・







あの、生意気な笑顔!!







(あいつ、あんなトコに・・・!?)







美咲の所まで、階段を駆け上がった。







「なんで投げんだよっ!」







(・・・こんな事が言いたいんじゃない・・・)







美咲を見つけた安堵感でいっぱいのはずなのに。







「ふんっ!ど~せ家帰ったら、」ゴミでしょー?」







「だからって、落とさなくても・・・」








「あれ?じゃぁ、カバンのほうがよかった~?」







いつの間にか、美咲は俺の荷物を全部持ってる。







「ふざけんなよっ!」







いつものデコピン。

愛情の裏返しの、デコピン。







・・・いつだってそうだったんだ。







美咲の髪に触れてみたくて、後ろから髪の毛を引っ張った。







顔も手も・・・







つねったりしたのは、美咲に触れたかったからだ。







いつも、冗談でしかさわれなかったけど・・・それでも俺は、ドキドキしてて、嬉しかった。







この、ワガママで生意気な女の子が・・・俺は、大好きだったんだ・・・







「拓、バカみたいにキョロキョロしちゃってさ。アハハハ、不審者だよ!

あ、もしかして美咲のこと探してたとか~?」







まったく・・・

最後まで本当にムカつく奴だな・・・

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