日本での生活
冬暁。冷たい空気に包まれた部屋の中、先に起きていた住人は未だ寝息を立てているもう1人の人物の枕元で正座をしている。
「起きてください、カルカ様ー」
「……」
反応がない。
「聞こえてますかー?起きてください」
「……」
またしても反応が無い。早く起こさねば用意した朝食が冷めてしまうことを懸念して眉間にシワを寄せる。
「はぁ…カルカ様!朝ですよ!」
「ひゃあっ!!?」
「ケラルト…ちゃんと聞こえてるから耳元で怒鳴らないでくれる…?」
両耳を手で抑え怯えた目つきでケラルトを見る。転移から半年程が経ちこの国の法律や常識を覚えたりと目まぐるしい日々を送っていた為少し目覚めるのが遅かっただけだ。布団の中から出たくないとか子供のような考えをしていた訳では無い。
「それなら1度で起きれば良いのではないでしょうか、カルカ様?」
「はい おっしゃる通りです…」
反省の色を示すべく顔を伏せる。この子はこんなに厳しい性格だっただろうか、とふと考える。
「反省していますか?」
「深くしております、ケラルト神官団団長殿!」
火に油を注ぐことになるかもしれないが、少しふざけてみる。怒ったら全力で謝ろう。
「コホン。では、副団長カルカ!貴女に命令を下します。朝食が冷める前に顔を洗ってくること!かかれ!」
「ハッ!」
兵隊のような敬礼と駆け足で洗面所へと向かい、任務遂行に向かう。
命令通り洗面所へ行き蛇口を捻ると低気温で冷やされた水道管から水が流れ出る。両手で水を掬い、顔に勢い良く押し当てると、息を飲む冷たさが眠気を覚ましてくれる。
「うぅ〜ちべたいちべたい」
タオルで顔に付着した水滴を拭き取り、朝食を取るべくリビングへと向かう 。
リビングでは朝食を並べ終えたケラルトが椅子に座っているのが目に入る。
「お待たせ〜」
「どうぞお召し上がりください、カルカ様」
木製テーブルの上にはバターが塗られたトースト1枚に目玉焼きが1つと淹れたてのコーヒーが湯気を立てて置かている。平凡な朝食だが今の2人からすればとても豪盛と言える朝食だ。
「「いただきます」」
食事の挨拶をして食べ始める
「この目玉焼きおいしぃ〜。今更だけどケラルトって料理の才能もあるのね 」
親友の意外な一面に驚く。
「お褒めに頂きありがとうございます。姉様の食事は毎日作っていたので知らない間に上達していたんです」
「へぇ~。それは知らなかった、私にも作って欲しかったなぁ…」
「さすがに宮殿内で王族の方に出す訳にはいかなかったですからね…でも、これからはいくらでも作って差し上げますよ、カルカ様。ああ、もう!パンくずを床に落とさないでください!掃除するの大変なんですから!」
「ハイハイ、わかりましたよ」
ここでふと、疑問に思ったことを口にする。
「そうだ、レメディオスの料理はどうなの?美味しい?」
テーブル越しに軽く身を乗り出し質問をする。
「…天は二物を与えず、です。」
真顔で答える。
「そう…。」
その後黙々とトーストを食べ進め、ぬるくなったコーヒーで胃に流し込む。
「「ご馳走様でした」」
朝食を終え汚れた食器をキッチンシンクへと置き、水道の水に浸す。
皿洗いは週毎の当番制であり今回はカルカが当番である。
「今週の皿洗いは…私ね。ケラルトは休んでて
ちょうだい」
「よろしくお願いします、終わったら図書館行くんですか?」
「ええ。そのつもりよ、もっとこの世界について知らないと」
「それならお供させていただきますよ、カルカ様。まだまだ勉強したいことが沢山あって」
「了解、ならすぐに終わらせるから待っててくれる?寝ちゃ駄目よ?」
マグネットフックに掛けられた防水エプロンを着用し、キッチンの引き戸からゴム手袋を取り出し、手に装着する。
「もう!カルカ様じゃないんですから寝ませんよてば!」
「うふふっ ケラルトこわーい」
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