第21話

“‘・・・?・・・’”

私(俺)は悩んだ。


‘一体俺たちは今、どうなってんだ?’

“分からない・・・

 けど、2人で1つの体を使ってる気がする”

‘それは同感だ。


 しかしなぜだ?


 俺達は別々の考えを持ったから、分かれた。

 淋香が裏の世界を拒んだからこそ、俺は生まれた。


 その俺と共有してるって事は・・・’

“それ以上は・・・理解しています”

‘まぁそれはそれで、いいんだけどさ・・・問題が一つ。


 このままだと体がもたねぇぞ’

“闇珠もそう思いますか?”


確かに普段こんな事は起きないから、はっきりはしないが、

体への負担が相当な物だ。

2つの思考に、脳もストレスを感じ始めている。


‘とりあえず、圭志がいるから突っ込めそうだな。

 周りの状況を確認してから、処理するか?’

“そう・・・ですね。

 まず、この場を収めることが先・・・ですね”

淋香は、闇珠の提案に同意した。


この時、淋香は落ち着きを取り戻していたが、

気持ちの中にまだ戦う意思があるのか、

闇珠と離れる事は選択肢にもなかった。

そして2人とも同じ様に、あの人の事が気になっていた。



その後私(俺)達は、体を2人で使用した状態のまま、

圭志(様)からこの家の状態を聞いた。


「今、この屋敷の中で動けるのは俺と来人、

 そして大老とお前だけだ。


 家の者は全員台所に集められてる。人質のようにな。

 後・・・」


「どうしたのじゃ?」

圭志(様)はお祖父様と私の顔を見て


「・・・一郎さん・・・ですが・・・」

「言うてくれ・・・」

お祖父様はつぶやくように言う。


「はい。俺が見つけた時には、もう・・・」

圭志(様)は、下を向き涙をこらえる。


「そうか・・・兄は・・逝ったか・・・」

その圭志(様)とジジイ(お祖父様)のやり取りを聞いて

俺の覇気は一層強くなる。


私(俺)はフーーッと息を吐く。


「闇珠・・・」

『圭志(様)、後は俺(私)がヤル(やります)』

「けど・・・」

『五月蝿いっ!!

 てめぇ(あなた)は黙って(ろ)てください』


俺(私)はこの時、完全にキレていた。

まだ人質扱いの人がいる中で

あの人の死を聞かされた俺(私)は


“‘絶対・・・これ以上好き勝手はさせねぇ。

  俺(私)が全て守る!!


  おじいちゃんが守ってくれた、この命で・・・’”

そう決断した。

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