第4話 莉緒

 高嶺の花だと噂されて、いつの間にか誰からも声がかからなくなる。見た目がいいとか、綺麗だとか人は外見を判断して話しかけにくいオーラを勘違いして受け取る。


莉緒りおは、切実に友達が欲しかった。


 寄ってくるのは、好意を寄せてくる男子のみ。

 女友達が欲しくてもなかなかできない。

 好きになってくれるのはうれしいが、

 必ずしもこちらが好きかと言われたらそうじゃない。


「李緒ちゃん!」


 同じ名前の女子が声をかけられているのを無意識に反応する。

 私じゃないってわかってる。

 振り向いて、またすぐにまっすぐに体を戻す。

 おかしな動きをしてしまった。

 隣の席の男子が、静かにふっと笑う。


「笹野さんって面白いね」

「……見てた?」

「うん」


 女子のグループがこちらをチラチラ見ている。会話してはいけない人と喋ってしまったようだ。

 同じ名前で違う漢字の李緒は、隣の席の 怜生れおに片思いしてるのだと察した。ハッと気づいた莉緒は、急に銅像のように固まって黙った。


「笹野さん、笑わせている?」


 莉緒がブンブンと首を振ると、怒りのオーラが後ろから放ってくる。


「最高だね」


 頬杖をついて、こちらを見る怜生と目を合わせないようにした。


 どうしてこうにもうまくいかないんだろう。

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