第10話
第12章 - 富山の闇
ミヤザキは、熊本で得た情報を持ち帰り、次なる目的地である富山に向かうことを決めた。彼が抱える疑念は、松田優作の隠された動き、そして坂東の関与をさらに深掘りする必要があるというものだった。ウクライナの秘密兵器や改造兵士の存在が明らかになる中で、次に明らかにしなければならないのは、坂東の影響力を広げるための拠点――それが、富山であるという確信があった。
富山は、彼にとっては初めて足を踏み入れる場所だった。周囲に自然が広がり、立山連峰を背にした静かな都市ではあったが、その静けさが逆に、何か隠された秘密を象徴しているように感じられた。坂東の陰謀が全国規模に広がっているとしたら、この静かな街の中にもその手が及んでいるに違いない。
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富山市内
ミヤザキは富山駅近くのホテルにチェックインし、街の様子を慎重に観察し始めた。富山の街は観光地としても知られており、昼間は賑やかな雰囲気だ。しかし、彼の目はその中に潜む暗い影を見逃すことはなかった。富山には坂東の関連施設が隠れているとの情報があり、その施設の所在地を突き止めることが最優先事項だ。
数日間の調査を経て、彼はついにその施設の一端をつかんだ。富山郊外にある、無人の工業団地の一角に、何らかの巨大な施設が建設中だという情報を得た。その施設には、一般的な企業の名前が掲げられていたが、内部の詳細については一切公開されていなかった。ミヤザキは、ここに坂東の新たな拠点があると確信していた。
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富山郊外の工業団地
夜、ミヤザキは忍び込む準備を整えた。風が冷たく、昼間の温暖さとは裏腹に、夜の富山は肌寒さを感じさせた。彼は慎重に工業団地に足を踏み入れ、周囲の警戒を一段と高めながら、施設の入口に近づいていった。
工業団地の中には、幾つかの古びた倉庫が並んでおり、どれも不自然に灯りが消えている。だが、その中にひときわ新しい施設があった。金属の壁に囲まれ、重厚な扉がそれを守っている。警備が厳重であることは間違いなかったが、ミヤザキは経験に裏打ちされた技術で、それらを巧みに回避していった。
施設の中に入ると、しばらくは静寂が支配していた。しかし、進むにつれて、何か異常な気配を感じ取る。作業員がいるわけでもなく、機械音が響いているわけでもない。ただ、金属とコンクリートの冷たい響きが空間を支配しているだけだった。
そして、さらに奥に進んだ先に、予想以上に巨大な地下施設が広がっていた。ここで、ミヤザキは恐るべき光景を目の当たりにすることになる。
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地下施設の真実
地下の施設には、広大な空間が広がっており、その中心には巨大なコンピューターシステムが並んでいた。いくつものモニターと端末が並ぶ部屋、その中で一つの大きなスクリーンが注目を集めていた。そのスクリーンには、ウクライナの秘密兵器に関する詳細なデータが映し出されており、その背後に存在する「新たな支配者」の名前が浮かび上がっていた。
その名前を見た瞬間、ミヤザキは愕然とした。それは、彼の予想を超える人物――坂東が手を引いていた背後に隠れた、さらに大きな力を持つ人物だった。その人物の名は、かつて世界的な企業を率いたが、突然姿を消し、今は一切の足取りが途絶えていた。その存在が、坂東の陰謀の根幹に深く関わっていることが明らかになった。
だが、情報はそれだけでは終わらなかった。モニターには、さらに恐ろしい事実が映し出されていた。秘密裏に行われている「人体兵器」の製造が進められており、それを支える技術が、富山の施設内で開発されていたのだ。その技術は、世界を揺るがす可能性を秘めていた。
ミヤザキはそのすべてを目の前にし、静かに息を呑んだ。彼が見つけた情報は、ただの陰謀にとどまらない。坂東とその背後にいる巨大な勢力は、世界規模で新たな秩序を作り上げるつもりであり、ウクライナの秘密兵器はそのための重要な鍵を握っている。
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脱出と追跡
だが、すぐにミヤザキはその場を離れる必要があることを理解した。どんなに重要な情報でも、それを持ち帰る前に命を落とすわけにはいかない。施設内には監視カメラと警備員が存在しており、彼の接触に気づかれている可能性があった。
ミヤザキは素早く施設を離れ、外の暗闇の中に姿を消した。しかし、その後ろには確実に、追手の足音が迫っていた。
次なる戦いが、今まさに始まろうとしていた。
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次回へ続く――
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