流浪のスナイパー
鷹山トシキ
第1話 つくばの影
第1章 - 静寂の中の狙撃者
夜、つくばの街は静まり返っていた。街灯が薄く照らす舗道を歩く人影はほとんどなく、風が建物の間をぬって吹き抜ける。だが、その静けさの中に潜む影が一つ。彼の名はアキラ・ミヤザキ。元陸上自衛隊のスナイパーであり、現在はフリーの請負人として、危険な任務をこなしている。
今日のターゲットは、つくばの先端技術研究施設内にいる「テクノロジーの盗人」――某国のスパイだ。彼が持ち出そうとしている機密データは、国家の安全を揺るがすほどの重要性を持っていた。そのため、ミヤザキには「ターゲットを排除せよ」という命令が下った。
ミヤザキは筑波山の中腹に位置する古びた小屋に隠れ、標的が現れるのを待っていた。彼の狙撃地点は完璧だった。周囲に高い建物が少ないため、視界を遮るものがほとんどない。片手には長距離用の精密ライフルがあり、もう一方の手でスコープを覗き込んでいる。
「ターゲット、接近…」
無線越しに指示が届く。ミヤザキは息を止め、動くターゲットを視界に捉える。彼が狙っているのは、つくばエクスプレスの高架下にある薄暗い通路を歩いている男だ。男は、何の疑いもなく歩きながらも、微妙に周囲を警戒している様子が見て取れた。
ミヤザキはスコープをさらに調整し、ターゲットの肩に合わせた。次の瞬間、無駄な動きは許されない。冷静に、慎重に、彼は引き金を引いた。
バシュ!
一発の銃声が夜空に響いた。その音は遠くの住宅地へと消えていった。男はその場で倒れ、周囲に数人の警備員が駆け寄るが、ミヤザキの影はすでに姿を消していた。
だが、その時、ミヤザキは何か違和感を覚える。ターゲットが死んでいるはずなのに、その目が微かに動いていた。そして、耳元に微かに届く別の音――誰かが通信機を使っている。
「おかしい…」
ミヤザキは瞬時に周囲の警戒を強化し、静かに退避を始めた。だが、その直後、無線が鳴り響く。
「ミヤザキ、状況が変わった。ターゲットはお前が撃った男ではない。新たな指令が来た、今すぐ指定地点へ移動せよ。」
その瞬間、ミヤザキの脳裏に浮かぶのは一つの疑問。「誰が俺を騙していたのか?」
そして次の瞬間、つくばの街に新たな暗闇が広がった。
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第2章 - 追跡者
ミヤザキはつくばの静かな街並みの中で、慎重に身を潜めながら歩いていた。無線越しの指令が嘘であることを確信した彼は、次第に状況の深刻さを理解し始めていた。ターゲットを排除したと思ったが、その背後にいる黒幕が、つくばのどこかに潜んでいる。
街の中で息を潜めているスナイパーとして、彼の目は常に周囲を警戒していた。つくばの科学都市としての顔の裏には、国家間の情報戦やスパイ活動が渦巻いていることを、ミヤザキはよく知っていた。
その時、遠くから微かに聞こえる足音が耳に入る。彼はすぐに隠れ、動きを止める。足音は近づいてきた。ミヤザキは冷静に息を止め、標的が目の前を通り過ぎるのを待つ。
通り過ぎた瞬間、ミヤザキは素早く立ち上がり、その男を追う。後ろから見る限り、その男は確実にスパイの一味だ。ミヤザキの任務はただの排除ではなく、この男を捕らえ、背後にいる組織の正体を暴くことに変わっていた。
彼は静かに追跡を開始した。筑波の街を舞台に、スナイパーとスパイ、そしてその背後に潜む陰謀が交錯していく。
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第3章 - 真実の向こう側
次回へ続く――
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このような感じで、つくばを舞台にしたスナイパーの物語が進んでいきます。地元の風景や施設を活かしつつ、陰謀と緊張感あふれるストーリーを展開しました。
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