5
*
そして放課後。
ガチャッ。
私は屋上の扉を開ける。
あ…
私はセーラー服のピンクのリボンをぎゅっと両手で押え、
両目をぎゅっと瞑る。
胸がドキドキで壊れそう。
電話では結局返事もらえなかったけど、きっと来てくれるよね…?
ガチャッ。
屋上の扉が開く。
「…!」
「…3日間、ベランダで待ってた」
「あ……」
私の両目が潤む。
待っててくれてたんだ…。
「…俺に言ったこと覚えてるか?」
「うん…」
「…言ったら、もう戻れなくなるけど」
「…
今までの関係には戻れないってことだよね…。
ここで拒否れば
だけどそんなの無理。
「いいです」
夕日に負けないくらい真っ白な下弦の月がキラキラと輝く。
「――――俺も」
「
え……。
私は驚きの余り、その場で崩れ落ちた。
言葉がもう何も出てこなくて、
両目から大粒の光が零れ落ちて止まらない。
「…出会って8日」
「…こんなに好きになるなんて思わなかった」
「…これからも
お願い、口動いて。
「うん…」
「
言えた……。
「…あー、うん」
「…やべぇ、嬉しすぎて言葉になんねぇ」
「……
「…
「はい」
「…俺がここでしたこと覚えてる?」
「…?」
「それがよく思い出せなくて…甘さを感じたような…」
「…そう。じゃあ」
「…今から思い出させてやるよ」
え……。
しゅるっ。
顔が熱い。
首から汗が垂れて…。
ふわっ……。
ほどかれたリボンがスカートの上に落ちる。
あ……リボンが……。
髪掻き分けられ……。
爽やかな甘い香りと
唇がゆっくり近づいてきて……。
両瞼を閉じ、眉が下がる。
ふわっと唇が重なった。
「んっ……」
とろけるような刺激的なキスで、
心に絡まったリボンも甘くほどける。
“…ほどいてほどかれる関係”
少しずつほどいて、
ほどかれて、
完全にほどけた先に、
“…プラス秘密多め”
私の脳裏を
一緒にいてくれたら嬉しいな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます