デス&リスポーン

永寝 風川

第1話「シノマツリ」

私、鳥留 桜とりとめ さくらは小学5年生の普通の女の子....でありたかった。

家庭はお母さん、お父さん、お姉ちゃん、そして私の4人家族。ここまでなら普通の家族だと思うでしょ?

でも違う。


お母さんは色んな男とあってるようで帰って来ない。帰ってきたら帰ってきたで、父さんが居なかったらギャーギャー騒ぐ。


お父さんはとあるゲームの会社の社長で、会社の人たちを虐めて、私達の前でその事を自慢している。そして、嫌なことがあったら物にあたり食器とかを壊して私がいつも掃除する羽目になる。


お姉ちゃんはその2人の事を凄い人だと思っていて、私の勉強の邪魔ばっかりしてテストで悪い点数ばっかり取らせてくる。


正直、もうこんな家には居たくない。

だけど、学校なんかもっと嫌だ。

確かお父さんが「たっぷり金を使ったんだから頑張れよ」とか私に言って入った学校は、私がクラスで1番頭が悪いというだけでクラスの皆が虐めてくるような学校だった。先生に助けてって言ったけど、「君が悪いんだろ?」と言って、なんか怒鳴ってくる先生ばかり。


(そろそろかな....)


今の時間は夜の11時58分。

0時丁度になると、私の父さんの会社で作った新しいゲームが遊べるようになる。

どうやらこのゲームは、発売前から人気でクラスの皆も楽しみと言っていた。


その事を考えると不意に少し変な笑いが毀れる。


(あぁ、今からお父さんの作ったゲームであいつらを殴れるんだ)


そう思うとニヤつく顔が止まらない、どうやって仕返ししてあげようかという考えがいっぱい出てくる。

だけど、私は大きく息を吸って吐いて、落ち着く。


変な声は出しちゃダメだから、大きな笑い声を出してしまってお姉ちゃんを起こしたら何されるか分からない。


それにお父さんの会社のゲームをやる理由はもう1つある。

お父さんに何かやり返せるのかもしれないからだ。お父さんに嫌な事があったら必ず暴れる。お母さんもお姉ちゃんもそれにイラついて何か起こすかもしれない。


....0時になった。

私はヘルメットのようなそのゲーム機を被って目を閉じる。

私はそろそろ堪えるのが我慢できなくなり変な笑い方をする。


「アハッ♪」


次の瞬間、私の視界は闇に包まれた。


◇◆◇


場所は代わりとある会社。


「出来た出来た出来た....」


俺、鳥留 良軽とりとめ いかるは気持ち悪くブツブツと呟き目の焦点があってないゴミ共社員を見て大声で怒鳴る。


「うるせえゴミ共!今日は帰っていいが明日からまたビシバシ働いて貰うらな!!」


そう言うとゴミ共は小さく悲鳴をあげたり、やっと帰れると小さく呟きながら会社から出く。俺はそれを確認すると社長の席に戻り、1人で歓喜の声を上げた。


「あのクソ会社に負けに負けできたがこれでようやく逆転だ...!」


俺の会社は元々VRゲームで天下を取っていた。しかしだ...没入型VRゲームというものが出てくると立場は一変、最底辺とは行かずとも周りからは「昔のゲーム」と蔑まれるばかりになってしまった....が!

このゲーム!『アンダーワールド』は違う!あの忌々しい奴らの作った没入型VRゲーム以上のクオリティ!そう!まさに異世界そのものを再現したかのようなゲーム!それがこれだ!

これで会社が!いや、俺が!再びゲームの最先端に躍り出るのだ!!


◇◆◇


「んっ....」


目を開けると暗い森の中だった。

私は手を握ったり開いたりを繰り返してみる。

うん、現実と同じ感覚。


(コレが没入型VRゲーム....)


初めてやってみたけど、やっぱりクラスの皆が言ってたみたいに現実とおんなじだ。

上を見るとお月様が光を放ってお星様たちもキラキラと光っていた。


ふと周りを確認すると何やらメッセージ見たいなのが周りに出ていた。どうやらチュートリアルらしい。


私は操作方法を何となく覚えると夜の森をゆっくり歩いていた。お父さんお母さんからは学校から帰ってきたら外に出るなと言われていたから、夜出歩くなんて不思議な感覚だった。


「あぅ...」


目覚めたところから少し歩いていると、大きな剣を持った骸骨にぶつかった。


「ご、ごめんなさい!!」


私が勢いよく頭を下げた瞬間、頭の上をなにか掠めた。


「え?」


私が顔を上げた瞬間見たものは、大きな剣を振りかぶった骸骨と頭の横にあるだった。

一瞬で体が切られ、私の視界は闇に包まれた。


「はっ...はぁ...ぁ...」


私は身体中を触って確認する、切られた跡はなくて、周りを見渡すと私が歩いた足跡がついていた。


(ゲームってこんなに理不尽なんだ)


敵と出会って、すぐ殺される。激痛が走ってリスポーン。


「フフッ」


一瞬の痛みだけで、苦しみで、終わるんだ。


「あ♪」


さっきの骸骨が私の所にゆっくりと歩いてくる。さっきは気づかなかったけど、頭の上には緑のゲージがあった。

そして、骸骨はまた大きな剣を私に向けて振るうと、身体中に痛みが駆け巡り、視界が闇に包まれる。再び目が覚めると骸骨が目の前にいた。


私はとりあえず骸骨を殴ってみる。すると、当たった所から1という数字が出てきた。


「ダメージが入った」


私がそうつぶやくと、再び体切られる。

目が覚め、また殴る。1と表示される。

体切られる。

目が覚め殴る。1と表示される。


「ダメージが入った」

殺されても何回も確認する。


「アハッ♪」


そして確信する。



こいつは...殺せる....♪



「死ね♪」「死ね♪」「死ね♪」「死ね♪」「死ね♪」「死ね♪」「死ね♪」「死ね♪」「死ね♪」「死ね♪」 「死ね♪」「死ね♪」「死ね♪」「死ね♪」「死ね♪」「死ね♪」「死ね♪」「死ね♪」「死ね♪」「死ね♪」「死ね♪」「死ね♪」「死ね♪」「死ね♪」「死ね♪」 「死ね♪」「死ね♪」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」 「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」 「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」 「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」 「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」


ただ無心に殺せる相手を殴る殴る殴る殴る殴る。

もう痛みなんてなかった、周りに色んなものが飛び散ってるけど相手が殺せるそれだけでいい。

ただ殴って殺す、クソ共が、お父さんの作ったゲームなんて破壊してやる、全て殺す壊す、

全て無くす。

私の存在がいらないように、このゲームの価値も無くしてやる。


でもそんな考えなんて今はどうでもいいとりあえずこれを壊してあげないと♪


「アハハハッ.......♪」


「アハハハハハハハハッ......♪」


「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ...♪」


「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ♪あれ?なんで殺してくれないの?ねぇねぇねぇねぇねぇもう疲れた」


「の?ねぇ、はや」


「く殺さないと、私がこわ」


「しちゃうよ♪」


.....


「あーもうあ」


「さかぁ...太陽さんがま」


「た登ってきちゃって」


「る、まぁいい」


「や」


まだまだこれは壊れないから♪

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る