数字に踊らされない精神
星咲 紗和(ほしざき さわ)
第一部:数字に振り回される日々
私たちの生活は、あらゆる数字に囲まれている。スマホを開けば、再生回数、フォロワー数、閲覧数が目に飛び込んでくる。これらの数字は、時に自分の評価や成果を示しているように見えるからこそ、つい気にしてしまう。私も例外ではなかった。特に創作活動を始めた頃、数字は自分の価値を測るバロメーターのように感じられた。閲覧数が増えれば「自分の作品が認められている」と思い、逆に減ると「やっぱり私には才能がないのかもしれない」と落ち込む。それは自然な感情なのかもしれないが、そこには危険が潜んでいる。
数字を追い求めるあまり、本来楽しんでいたはずの創作活動そのものが、次第に「数字を稼ぐための手段」になっていく。それが一番顕著だったのは、閲覧数を増やすために「受けそうな内容」を意識して書き始めたときだ。最初は少しでも多くの人に読んでもらいたいという純粋な気持ちからだったが、次第に「どれだけ注目を集められるか」に意識が集中し、内容そのものが薄っぺらくなっていった。そして、いつしか楽しむどころか、数字に振り回されて疲れ果てている自分に気づいた。
本当にやりたいことは何だったのか。本当に伝えたいことは何だったのか――数字に囚われる日々は、そんな自分の核心をぼやけさせてしまう。結果として、自分らしい表現が失われ、創作そのものの魅力が失われていく。数字は見えるからこそ、影響力を持つ。しかし、それに振り回される生活がどれほど窮屈で創作を苦しめるものか、私はその時初めて実感した。
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