第5話 2024年アニメ映画評4・「映画 ギヴン 柊mix」

 2月一発目の映画は「ギヴン」の完結編前篇。投稿してる時には、既に後篇を観ているのだが、この記事ではそっちに触れるつもりはない。スコア的には5点くらい。ファンなら観てくださいという感じ。前回の「映画ギヴン」の時くらいから、何か合わんなあとは思っていたが、今作で、へえ、そうなんですか、という感じが一層強まった。まあ、オチが中途半端だったせいもあるんだろうけど。

 とにかく、真冬と上野山君のドラマを置いてけぼりにし過ぎである。全般に柊と玄純の話にフォーカスしすぎて、先に挙げた主人公の関係は淡泊になってしまい、何だか、ずっと足踏みをしていた印象。まあ、真冬がコミュ障なのは当然として、立夏ももう少し察するところがあったのでは、と思わんでもない。テレビ版で、真冬はバンド活動自体がトラウマみたいな話してませんでしたっけ? してましたよね? という感じ。とはいえ、二人は高校生なわけだから、そんなこと言ってもという感じではあるんだが、尺がそれほど長くないのに、メインカップルの心情描写が手薄になったことが、こいつら何しとんねんという気持ちを強めた原因なのだろう。

 それとは別に、前回劇場版でメインに据えられた春樹と秋彦は見るも無残な有様で……。なんだか、恋が成就したら出番がなくなる法則でもあるんだろうか? 前回の映画でも上野山・真冬カップルは扱いが軽く、続く今回の映画でもちょっと微妙な感じだったので、掘り下げが甘くなったと思う。今回では春樹・秋彦も扱い軽い組になってていて、バンドやめたのか、ってくらい出てこない。

 雨月のこともあるし、群像劇を描きたかったのだろうが、そうするならドストエフスキー「罪と罰」みたいに色んな関係性を同時並行で進めていった方がいいのではないかったか、と思う。「ギヴン」はターン制というか、このキャラを掘ったら、次はこのキャラ、次はこのキャラといった風で、ちょっとリニアすぎるかなあ。

 ちなみに劇中の新曲は非常に良かったです。EDは、まあそれなり。

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