【デベロッパー・ルーム】

SCENE:2 『PROLOGUE』

【エデンズ・ブック】。

世界には、勇者【ブレイバー】と魔王【サタン】が存在した。

【サタン】とは、【創造の魂】を受け継ぎし者。

【ブレイバー】とは、【破壊の魂】を伝承した者。

【創造の魂】を持つ【サタン】は魔王として世界に君臨し、世界の全てを思いのままに創造し、支配する力を持つ。

【破壊の魂】は世界の均衡を守る勇者【ブレイバー】となる人間の称号。

神により授けられた絶対的な破壊の力を以て調律を司る。

この二つの魂は永遠に対立し、世界からは戦争が絶えることはなかった。

幾度となく繰り広げられた決戦の時。

その地へ足を踏み入れた【ブレイバー】と【サタン】は相まみえた。

両者は身構え、此度も最期の戦いが始まる。

剣と魔法が衝突し、閃光と衝撃が走る……

と突然の事だった……

両者とも足を止めた。

【ブレイバー】は剣を捨て、【サタン】は魔力の門を閉じたのだった。

最早二人の間に殺気は見られない。

歴史上何度も繰り広げられる戦いに意味を見出せずにいた二人は、世界から忽然と姿を消してしまったのだった。

その後、彼らの行方を知る者はおらず、【空虚なる時】が生まれた。

永く続く。勇者と魔王の戦いが無い時代。

時間が経つにつれて世界の環境は大きく変わっていった。

人間たちは戦いではなく、自分たちの生活に目を向けるようになった。

魔物たちは主導するものがいなくなり、自分たちの種の存続の為に生きるようになった。

ある日の事。

世界の調律司る【ブレイバー】の代理人こと【白騎士団】は【ブレイバー】と【サタン】の存在が明らかにした。

【破壊の魂】の器を生まれ持つ赤髪の兄と【創造の魂】が受け継がれた桃色の髪の妹。

その姿は、普通に一緒に生まれて普通に育った只の仲睦まじい兄妹。

それだけならば下手に干渉するべきではない。と【白騎士団】は判断し監視のみに留めていた。

そして運命の時は訪れる……

【物語は、とある兄妹の生き別れから始まります】

突然、妹が誘拐され兄妹の仲を切り裂かれてしまう。

妹を連れ去ったのは【サタン】の復活を目論む【黒キ者】達。

兄妹を監視していた【白騎士団】は【ブレイバー】の器である兄を間一髪のところで保護には成功したが、妹の方は【黒キ者】達の追跡は困難を極め、足取りが途絶えてしまったのだった。

兄である【アダム】は誘拐された妹の【イヴ】を奪還する為に、【白騎士団】に一人前の戦士である【セイヴァー】にまで鍛えてほしいと懇願し、【白騎士】はそれを快諾。すぐに修行が始まった。

一方、【黒キ者】達の目的は【イヴ】から【創造の魂】を抽出することを目的としており、【最終儀式】が始まれば、【イヴ】を生贄に【サタン】が蘇り、【戦いの時代】が再来してしまう。

しかし【魔王城】の最奥の部屋に監禁された【イヴ】の【創造の魂】は突如として覚醒。

【イヴ】は自身の身体と【創造の魂】を切り離し、一冊の本に圧縮した。

思念体となった【イヴ】は本を抱えて【魔王城】を脱出し、【アダム】を探す為に世界を彷徨った。

短い期間で過酷な修行を終えて【セイヴァー】になった【アダム】は【始まりの地】に降り立った。

丁度降り立ったその場に、砂を被った一冊の大きな本が落ちていた。

表紙には【エデンズ・ブック】と金色の文字で刻印されている大冊を拾い上げ、

表紙を開けると突然、煙が巻き起こり……【イヴ】が姿を現したのだった。

【イヴ】は【アダム】に今までの状況を説明する。

そして【イヴ】の本体が囚われている【魔王城】までの【案内役】として、

【アダム】と【イヴ】の旅が始まる……。

SCENE:2『PROLOGUE』 Chapter.0 END...