第4話


 っ!これは!まさか使えるのか?!


「ふっ、お前らは飛ぶ斬撃を見たことがあるか?」


「はっ、何言ってやがるんだ?動くと痛くしちまうぞ?!」


 ジントは距離をとったまま構え、静かに闘気を練った。


「居合 二の型 夕凪」


 その瞬間、音を置き去りにしたかの様に振るわれた刀を納刀し、1人生き残った方に向かって歩き出した?


「お、おめぇ何をしやがった!?」


「さあ?みんな体調でも悪かったんじゃないかな?」

「そ、そんなわけねぇだろ!首が切れてるじゃねぇか!!」


「ふむ、まだ状況が理解できないのか?お前などいつでも殺せるというのに。」


 その瞬間、凍える様な視線とともに右手が刀にかかった。


「す、すまねぇ、いや、すみませんでした。命だけは助けてください。。」


 そう言って盗賊の生き残りは泣き叫びながら土下座をしていた。


「やっと、立場がわかりましたか。まあいいでしょう、住処に案内しなさい。」


「は、っはい。こちらです。洞窟にはお頭も含めて11人います」


「なるほど、わかりました。」







「なるはど、見張りなども置いていないが、人の気配はしますね。」


「そ、それで私はこれでよろしいでしょうか?」


「いえ、あなたにはここで穴を掘っててもらいます。」


「へっ?なぜでしょうか?」


「ふぅ、やれといったらやればいいんですよ、体とお別れしたいんですか?」

「ひぃっ!!いえ、掘らせていただきます。」



 さて、盗賊の住処に来たのはいいが、とりあえず殺すしかないだろうな全員。まあ、武士としては殺したくらいで動揺しない様に心も鍛えてましたが。キツイですね。あいつらが外道なのがまだマシなところですかね。



 ある程度進むと宴会の様などんちゃん騒ぎが聞こえてきた。シロにはさっきのやつの見張りをさせているから、ジントは1人でどうするかを考えていた。



 クナイは5本。おそらくこの位置から確実に狙えるのは3人。そこからは乱戦になるか。ふとそう考えていると、鼻を抜ける強い香りが漂った。。ふむ?なかなかに強いアルコール臭だ。そして、しっかりと空気の通りも確認したジントはそこから早かった。布の切れ端をクナイにくくり付け液体燃料を浸し準備する。



『さあ、この異世界でもアルコールは燃えるかな?』


 疑問は勿論だった。まだ見たことないが魔法などがある世界において、現代科学の常識がどこまで通用するかなども謎だったからである。

だが、不思議と失敗するとは思わなかった。なぜなら、この柳生仁斗という男は産まれてから一度も失敗をしたことがなかったからである。

故に、疑いも迷いも全て受け入れた上で実行することを決めた。





 クナイは綺麗にアルコールの入っていた樽を破壊し、火をつけた、そして、その場にいた全員が火だるまになり、地面を転げていた。それを見てジントは顔を顰めながら他の道を進み探索するのであった。







「これはっ、、大丈夫ですか?」


「この騒ぎはあなたが起こしたのですか?」


 ジントが別の通路から言った先にいたのは、檻の中で椅子に座って机に向かっている2人の男女だった。


「えぇ、そうですが、あなた達は彼らの仲間ですか?」

「そんなわけがない!!」

「そうですか、とりあえずここから出ましょうか。」


「だが、鍵がなければ、、」


「いえ、切りましょう、では。」


 そういうとジントは何事もないかの様に刀を振い鍵を壊した。その時に何かに弾かれる様なのを感じたがそのまま切ってしまった。


「な、なんと、マジックアイテムの錠を切るとは。。」

「あなた、やっと出られるのね!!」

「あ、あぁ、そうだな!すまないが貴方の名前はなんというのでしょうか?」


「あぁ、私の名前はジントといいます。苗字は呼ばなくて結構です。」

「やはり、お貴族様でしたか。わかりました。自分はドワーフ族のザックで、彼女はハーフリング族のフランです。」

「フランです!」


 ふむ、おかしいな、ドワーフにハーフリングといえばどちらも小さい種族なのが定番なんだが。。


「あ、ははは、確かに純血のドワーフにハーフリングは小さいですが、もう今では混血が多くなり、純血は王族に近い貴族などにしかいませんよ?」


「ふむ、そうだったのか!常識などは全く知らないからな、他にも教えて欲しいことが沢山あるが、その前にあ奴らの様子を見にいかねばならないからな、ここを出る準備をしといてくれ。」


「「わかりました!」」

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