第8話 運命の選択
部屋の中の空気がひどく冷たく、まるで時間そのものが凍りついているかのように感じられた。蟇田の目は鋭く、冷徹に光っている。虚無の門を開いたその瞬間から、彼はもはや人間の域を超えた存在となり、目の前の悪人たちの運命を自在に操る力を手に入れた。
その部屋には、今まさに運命を迎える8人の悪党たちが震えながらひざまずいていた。彼らは、かつて蟇田を裏切り、権力を貪るために陰で手を組んでいた者たちであった。しかし、裏切りが最終的に蟇田の手に落ちる結果を招いたことを、彼らは思い知った。
彼らの目には恐怖の色が浮かび、ついに逃げ場がなくなったことを悟っていた。その全員が、命を永らえるために、今まで見せたことのないほど必死に蟇田を見上げていた。しかし、蟇田はその顔に一切の同情を感じることなく、冷たく言い放った。
「お前たちが抱いてきた欲望は、全て私の手のひらの上だ。だが、命を取り戻す道はない。冥界の力を持つ者として、私はお前たちを裁くのが仕事だ」
部屋の空気がさらに凍りつく。その言葉が響く中、蟇田はゆっくりと手を上げ、冥界の力を解き放つ準備を始めた。彼の周りに黒い霧が立ち込め、闇がその手のひらに集まっていく。
悪党たちの選択
8人の悪党たちは、もはや言葉を交わすことなく、必死に命乞いを始めた。誰かが最初に声を上げる。
「蟇田様、どうかお許しを…我々は貴方を裏切ったのは愚かでした、すべてをお詫び申し上げます。どうか命だけは…!」
「命だけでも助けてください! 我々は力を使って貴方のために戦うことを誓います!」
言葉を並べても、その一つ一つが蟇田の心に届くことはなかった。彼の目の前で、悪党たちが震えながら命乞いをする姿を見ても、蟇田の心は一切動かされることはない。それどころか、彼の中に潜む冷徹な力がさらに強く膨れ上がるのを感じた。
「今さらお前たちがどんな言葉を並べても無駄だ。お前たちのような者たちに、再び命を与えることなどできん」
蟇田の言葉は、まるで氷のように冷たく鋭い。彼の手から、黒い霧が一層濃く、強く湧き上がり、部屋全体を包み込む。その霧は、悪党たちの周囲を取り囲み、逃げ場を奪った。
冥界の裁き
「冥界の力よ、我に与えし力を解き放て」
蟇田の声が部屋の中で反響し、その瞬間、霧は一気に凝縮され、部屋中が闇に染まった。8人の悪党たちはその力に引き寄せられ、全身が動かなくなった。蟇田は冷ややかな目で彼らを見つめながら、次の一言を発した。
「お前たちの魂は、もうこの世には戻れない。今、冥界に引き渡す」
蟇田が手を振り上げると、黒い炎が彼の手のひらから放たれ、悪党たちの体を包み込んだ。その炎は一瞬にして悪党たちを焼き尽くし、彼らの魂を冥界に引き寄せていった。激しくもがくように彼らの体は燃え上がり、やがてその姿は消え、部屋は静寂に包まれた。
変わり果てた部屋
悪党たちが消え去った後、部屋の空気は依然として冷え切っており、冥界の力が漂っているような重い沈黙が続いていた。蟇田はその場に立ち尽くし、周囲の静けさを享受しているかのように感じた。
だが、その静寂の中で、蟇田はふと一つの疑念を抱くようになった。それは、自分の内面にわずかながら生じた違和感だった。冥界の力を駆使し、すべてを支配する力を得たはずなのに、なぜか心の中に虚無感が広がっていくのを感じていた。
「これが…本当に求めていたものなのか?」
その疑念は、蟇田が手にした力の代償に対するわずかな反応であった。だが、彼はその疑問を心の奥底に押し込め、すぐにその思考を断ち切った。冥界の力を手にした自分に、もう後戻りはない。
新たな支配者
蟇田は冷徹に部屋を後にし、冥界の力を駆使して次なる目的に向かって歩みを進めた。彼の視線は、すでに次のターゲット――戦国時代の覇者たちに向けられていた。彼の手中にある力を、さらに深く、広く支配し、歴史を変え、時空を越えた運命を操る存在となることを決意していた。
そしてその先に待つのは、冥界と現世、すべての力を支配する絶対的な王となる瞬間。彼はすべてを手に入れることを誓い、次なるステップに向かって歩みを進めた――その先に、果たして何が待ち受けているのか、まだ誰にも分からなかった。
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