第30話 数万年ぶりの再会
息をのむほどの美しさを持つ人間には何度かあったことがあるエルピス。
身内贔屓は入っているにしても両親だってそのタイプの人間だし、フィトゥスやリリィだけでなく召使たちにも美男美女はおおい。
大変目の保養になって結構なことではあるが、そんな美男美女に囲まれて美醜のハードルが随分と高くなってしまったことをエルピスは声を大にすることはないにしろ理解していた。
ーーしかしそんなエルピスは目の前の女性を前にして一切の身動きが取れないでいた。
エルピスにコンマすらの動きをさせないのは彼女の圧倒的な美貌、個々人が持つ美に対する考えや癖などというものは一切合切を破壊し自分こそがこの世で世界一美しいと言わんばかりの覇気。
白銀の翼を背に携え、朝雪のように穢れを知らない肌はその白銀の髪色と合わさって雪の精にすら見える。
纏っているのは大きな一枚の布だけであり、パッと近い服を思い出すのであれば古代ローマの人が着用していたというアレだろう。
大切なところこそ隠されているが、その肢体は隠すことをする必要がないと言わんばかりにちらちらと見え隠れしていた。
「――初めましてね、エルピス・アルへオ君」
どこか聞きなれた声で自分を呼ぶそんな声を聴きながら、エルピスはどうしていまこんなことになったのかと少し前の事を思い出すのであった。
・
法国の神の好意、というよりはここまでやるのだから約束は守れよという強迫にも近い報酬として、なにやら貴重な物らしい祝福の義をしてもらうことが確定したエルピス。
そんな彼は協会に戻るとそのままフィーユに連れて行かれるままにどんどん奥へと連れ込まれ、気が付けば自分がどこにいるのかすらよくわからないほど奥へと引き込まれてしまっていた。
頼りの綱であったアルキゴスはといえば面倒ごとの雰囲気を感じとったのか早々にフェードアウトし、そろそろ案内も終わっているだろうと言ってアウローラの方へと行ってしまった。
「ここです」
気が付けばいつの間にか目的の部屋に到着していたらしい。
扉を開けて中を確認してみれば中央に質素な椅子が一つ、ライティングされたその椅子はかなり不気味な雰囲気を漂わせていた。
何もなくこの部屋に案内されたら処刑でもされるのではないかと勘繰ってしまうだろう。
他の部屋に比べてもどこか魔力の質が重たく、ついたたずまいを直してしまうような空気が漂っている。
「あの……あんまりなにするか分かってないんだけど、これから何するの?」
「お礼です!」
「うん、それはそうなんだろうけど」
概要は先ほど聞いた。
法皇の一族が数年に一度しか行えない神聖な儀式、それだけ聞くと特別な物だということは理解できるのだがそれにしたって情報が少ない。
テキパキと準備を進めるフィーユはエルピスが止める隙も無く作業を終わらせると、エルピスの両手足を何も言わずに椅子に縛り付ける。
「外なる神との邂逅でちょっとだけ精神に負荷がかかりますが、終われば祝福された新しい自分に生まれ変わることができます。がんばってくださいね」
「いや、ちょ、待ってそんな急に――」
「では行きます!」
――というのが事の顛末であった。
フィーユの言っていたことが正しいのであれば目の前にいる女性に見える相手こそ、外なる神といった存在なのだろう。
どこから見て外なのか、とか外という概念を司っている神なのかエルピスには判断が付かない。
わかるのは目の前の女性は神であること、この空間ではエルピスの持っている力の中で使えるのは神の力くらいの物だろうというところだ。
視界を周りに移してみれば周囲一帯すべてが等しく暗闇に染まっており、目の前にいる彼女との距離感こそ分かるがこの空間がどれだけの大きさなのかもよく分からない。
冷静に分析してみたもののこれと言ってする事もなく、そもそも相手からこちらが見えて居るのかと思い黙って突っ立って相手の反応を待っていると、落ち着いた声で、何処かで聞いたことのある声で目の前の女性は喋り出す。
「意外と遅かったのね、エルピス君。何か手間取る事でも有ったのかしら?」
相変わらず聞きなれた声でそう話す女性は、いつの間に椅子を出しそれに腰をかけこちらを見ながら、女神か天使にしては随分と子悪魔っぽい笑みを見せる。
まるで自分がやってくることを分かっていたような口振りの女神を前にしてエルピスは警戒心を見せる。
この場所に来ることになったのは全くの偶然だ。
もしその偶然が操られた物であったとしたならば相手は何か目的があって自分をここに呼んだという事。
真っ先に思い当たるのは自分の称号欄の端に記載された神の称号達であるが、元はと言えばこれは転移の際に獲得した言わば貰い物。
エラーが原因だから変えせと言われるのであれば、少し残念ではあるが返すほかないだろう。
「……教会内部が思ってたより入り組んでたので。貴方は?」
「この空間を任せられてる女神よ。名前は……また後でね。なんならあだ名でもつけてみる?」
「神様にあだ名を付けるなんてことできませんよ。ここに来てしまったのは手違いです、お騒がせして申し訳ありませんでした。それでは」
ここがどこなのかは分からない。
だが見ず知らずの世界に移動するのは不可能だとしても、自分が元居た世界に返ることはなんとかで来そうだとエルピスは直感的に理解していた。
とりあえずこの空間からさえ逃げてしまえればそれでいい。
元の世界のどこに転移するかは分からないが、エルピスであればどこに転移させられたとしても人の国に戻ること自体はそれほど難しい話では無い。
頭を下げてそのまま転移魔法を起動しようとしたエルピスに対し、彼女はゆっくりと歩いて近づいてくるとそのままエルピスの転移魔法陣を無造作に踏み抜く。
「ー―なっ!?」
発動しかけている魔法を物理的な方法で破壊するなど無法もいいところだ。
踏み抜かれた魔法に込められた魔力は行き場を失いその場を吹き荒れるが、巨大な岩石であろうともなすすべなく吹き飛ばされるほどの爆風の中で彼女は涼しい顔をしながら一切動じることなく仁王立ちしている。
「ダメですよエルピス君、話もまだ終わっていないのに逃げようとするだなんて」
優しくエルピスの頬を撫でながら、彼女はエルピスの事をまるで小さな子供がいたずらでもしたかのように扱う。
両者の間にあるのは圧倒的なまでの実力差、何をしたところで埋まらないだけの圧倒的な差が目の前には合った。
エルピスの背中を冷たい汗がひやりと垂れ落ちていき、エルピスはなんとか喉の奥から言葉をひねり出す。
「……一体何の用事で?」
「話始めると長くなるわね。まぁこの場所は時間も空間も超越した場所だし、どれだけ時間をかけてもいいのだからゆっくりと話すとしましょう」
「できれば手短にお願いしたいですね」
何をしでかすか分からない神を相手にそんなよくわからない空間で二人きり。
正直今すぐにでも逃げ出したいが、逃げ出した結果先回りされて潰されるのが先程のやり取りで証明されている。
話を聞くだけでなんとか見逃してくれるならばそれでもいいかと考え、おとなしくどれだけ長いかも分からない話に巻き込まれることを覚悟したその瞬間。
「ーーーすいませーん!!!」
自分と目の前の彼女以外一切の物音が存在しないそんな空間に、元気な青年の声が響き渡る。
いつぞや聞いた時とは随分と違ったような気はするものの、確かにどこかで聞いたことのあるそれ。
その声はこの空間に無理矢理ひずみを開けるとそのまま人一人が通れるほどの大きさの空間を形成し、中からエルピスが初めてこの世界に転移してきたときの神が顔を出す。
よほどこの空間に入ってくるのが辛かったのか肩で息をしながら赤い双眸をキョロキョロとさせた彼はこの場にエルピスともう一柱いる事を認識する。
「ーー何か用でも有るの? ローム」
「何故貴方がここにーーまぁいいや。それよりようやく見つけましたよ。毎度毎度すいませんね、本当は私の所に来る手筈になってたんですがシステムがまた故障しちゃって……」
全知全能の神が作ったはずのシステムもどうやらそれなりに故障はするらしい。
少なくともこの場所に来た事自体が故障であった事を知って喜ぶと同時に、先程の女神の言葉が引っ掛かりもしかしてシステムの故障の原因は女神にあるのではないとすら考えるエルピス。
とはいえ追求することなどできるはずもなく、リスカを負ってまでエルピスとしようとは思わない。
女神はロームと呼ばれたエルピスを異世界に送り出した神へ視線を向けると、先程までより少しだけ冷たい声音で続ける。
「ロームが担当だったの? いつも大変ね」
「いえいえ。管理システムが最近イカれたせいでちょっと手間取ってますけど、基本は問題なしです」
「そう、良かったわ。ヘステリアはもう管理業務できそう?」
「こっちの世界であればまぁってとこですかね。そう言えば、何でエルピス君がこの空間に居られるんですか? ここはかなり高位の神しか入れないはずですが」
神達の会話を聞きながらエルピスはふと思う。
神様達からすればこの空間はエルピスとはまた違う風に見えているんだろうか?
高位の神のため用意されているのがこの空間なのだとしたら、何もないこんな空間に長時間一人でいたらエルピスなら間違いなく発狂する。
そう思いながら辺りを見回していると、驚いた様な表情をしながら女神がロームに言葉を向ける。
「何言ってるの、見てわからない? ほら、顔とか結構面影残ってるわよ」
「面影って何が…………嘘でしょ、本気で言ってます?」
二人してまるで昔からエルピスの事を知っているかのように、彼らは怪訝そうな顔を浮かべてエルピスを見ながらそういった。
いったい彼らが自分の何を知っているのか、エルピスには開幕見当もつかない。
舌の根が乾いてしまうほどの緊張感にさいなまれながらも、エルピスはおずおずと神々の会話に割って入る。
「どうかしましたか。私になにかおかしいところでも有ったのでしょうか」
「本人に自覚はないようですね、どうします?」
「早めに教えてあげるのが優しさってものじゃない? これを見たらきっとよく分かるわ」
そう言って初めて能力を獲得した時と同じ、薄い透明な板に刻まれた文字を見せつけられ、エルピスはドキドキしながらゆっくりとそれらを上から読んでいく。
最初に記載されていたのは技能について、見慣れないものから見慣れたものまでその種類は多種多様だがすべて確かにエルピスが獲得したことのある技能だ。
次いで特殊技能、こちらはいくつか減っている以外に変化はなく、確認は取れていなかったがエルピスが手に入れたものでほぼ間違いはない。
最後に称号、あの空間で手に入れた中で最も変化があったのはここだろう。
いくつか増えた称号の中にひっそりと隠れさも何事もないようにふるまうそれは、エルピスにとって衝撃以外の何物でもなかった。
「──お久しぶりです創世の神よ。神の世界へおかえりなさいませ」
ロームの言葉はエルピスに届きはしない。
確かに刻まれていた元創生神というたったの四文字は、エルピスの人生で最も大きい衝撃であった。
@
それから数分程度だろうか。
ようやく落ち着いてきたエルピスはその事実を知らされ、ああ確かにおかしくはないのかなと思い始める。
何も現実逃避を始めたわけではなく、ただ単純に自分とほかの人間との転移時の扱いの差について明確な答えが生まれたことに納得しているのだ。
偶然も偶然ではあるが、神の力を手に入れられたことだって生まれが関わっていると知れば納得はできた。
「まさか知らないとは思ってもみませんでしたよ、てっきり気がついているものだとばかり」
鑑定によって自分の能力は何度も見てきたが、今日この瞬間まで創生神についての記述などどこにもされていなかった。
この場に来たことこそがトリガーなのではないかと疑うエルピスだが、事の本末はよく分からないと言う結論に着地する。
「いま教えられて初めて知りましたよ。創生神ってなんなんですか?」
「破壊神と双極を成す神で、我々温厚派の神々の親です。詳しい話をする長くなりますね」
エルピスが住む世界の神より上位に見える外の神、その神様たちを作り出した創生神。
自分がこの場に立っていると言うことは既に亡くなって居るのだろうが、そんな上位の神が死んだというのにロームはどこか淡白な反応だ。
「思いつきでよく行動する人でしたから、多分何か考えがあってのことなんでしょう。とりあえず何か一つくらい特別に……と思ったけど今別に困っていること無そうだし私が付いていきますか」
「--ちょ、姉さんそれはまずいですって!! 姉さんいなくなったら転生者の対処誰がするんですか!?」
「ヘステリアなら大丈夫だって言ったでしょう? 私は準備してくるから」
「姉さん!!!」
ロームがこちらに来た時と同じように空間に黒い穴を開けると、女神は呼び止められる声も無視してそこに入っていく。
あれは止められるものではない、母と同じ人の話を聞いているようで聞いていない人種だ。
それをロームも感じ取っていたのか、大きく溜息をつくとどこからか椅子を取り出しエルピスにも勧める。
彼女が帰ってくるまで話でもしようと言う事だろう。
「凄いですねあの人……」
「あれでもすごく喜んでいるんですよ、貴方は僕が担当するまで死んだ事になっていましたから」
エルピスの今の状況を創生神が生き返ったと定義するかは別として、彼がこうしてここに居るのは彼女からしてみれば紛れもない奇跡。
そうエルピスが間接的なロームからの言葉で感じ取れるほどに、そこには大きな想いが込められていた。
「まぁ付いてくるのは最悪いいとして……それで創生神とはなんなんですか?」
「先ほども言った通り神を作り出した神ですよ。いま神々が使っているシステムも元はあの人が作り出した力です。ちかみに貴方が元いた世界は私が、いま居る世界は創生神がご存命の時に作られたんですよ」
創生の神といえば日本でいうところのイザナギとイザナミ、他の神話で言うとギリシャ神話ではガイアともう一人なんだったか。
つまりはこの世界を根本から作り上げた神であるとされていたが、その神すら創生神によって作り出されていたらしい。
話がややこしくなってきてしまったがつまりは創生神が最高位、そして目の前のロームが世界一つを担う中位の神、その世界の中にいるエルピスのようなものが低位の神という解釈で特に問題はないだろう。
「なんでそんな人が転生したんですかね。僕が言うのもなにかもしれませんが」
実感が湧かないので本当に自分の前々世がそんな人物なのかエルピスに確かめる術ないが、書いてあることが本当ならば最高位の神が突然死んで神ですらない存在に転生した事になる。
おそらくはあの転生の時のメニュー表記は創生神が組んだものだろうから、一応神に戻る意思はあったのだろう。
だがそれにしても行動の理由がわからない。
そんなエルピスの心からの疑問に対して、ロームはなんででしょうかと逆に疑問を呈する。
「私にも分かりません。ただ一つ言えることは貴方は創生神の生まれ変わりで、そんな貴方を姉さんは少なからず愛して居ると言う事です」
「……ん? いきなり話が分からなくなりましたね」
「愛序なんてそんなもの本来は神に存在しませんけど、人間的に言えばそんな感じです」
(これ連れて帰らないほうがいいのか?)
あの女神が創生神に好意を抱いていた、ここまでは理解できる。
彼女と創生神の間に何があったのかはさておき、他人が他人を愛することなどごく自然なことだし、それに対して違和感を感じることはない。
なぜ愛されていたのにそんな彼女を置いて創生神が転生したのか、死後転生した自分を見て女神の反応がなぜ淡白だったのか。
魂の本質は変わらなくとも肉体も記憶も全てがリセットされたエルピスを、かの女神は変わることなく愛し続けているというのもよく分からない話だ
物でも記憶でもなく、その個人のありようをもって好意とするしぐさは大変神らしくはあるが、人間であるエルピスからしてみればなんだか違和感である。
道行く人に突然好かれればどれだけ可愛くても嬉しさの中に違和感が入ってくるのは仕方がない。
「何故彼女は創生神の事を好きに? 何か理由があるのでしょうか?」
「一番はかの大戦でしょうね。神の世界にも派閥が存在しまして、現在は創生神の派閥がこの神界を制している状況です。ですが過去には破壊神側の勢力も大きく、数多の世界を賭けて大きな戦争がありました」
ロームが手を軽く振るとかつてと同じように周囲の景色ががらりと変わり、その大戦の様子が映し出される。
数多の世界を巻き込むような想像もつかないような規模の戦いは、人の考えられる年数など遥かに超えて長い間続いていたらしい。
そんな中先程と同じ女神が鎖に繋がれて牢の中に入れられており、その姿は所々傷を負っていて身に纏っている武装もほとんど機能していないようにエルピスの目には見える。
だがその横顔は傷を受けてなを気高く、敵を見据える目はそれだけで息が止まってしまいそうなほどだ。
「このように捕まった神の行く末は基本的には死です。人なら色々使い道もあるのでしょうが、先ほども言った通り神は基本的に欲求を持ちませんので普通に死刑ですね」
「ぃ生きてるって事は未遂に終わったんですか?」
「ええ。あろう事か単身で姉を救出しに行った創生神は敵を全滅させ、何事もなく帰ってくるとまた次の戦地へと向かって行ってしまいました。この間の出来事みたいに思い出せますが、あれも遥か昔の、それこそ姉の担当する世界が存在しない頃の話です」
地球がではなく宇宙そのものが存在しなかった時代、それは一体どれほど前の話なのだろうか。
人であるエルピスには想像もつかないが、それだけの年数待ち焦がれていた彼女の気持ちは想像がつく。
とてもではないが先程会ったばかりのエルピスでは、彼女の気持ちを受け止め切れるとは思えない。
「そんな凄い人だったんですね……僕じゃそんな人の代わりなんて務まりませよ」
「姉はそんな事気にしませんよ。あの人は貴方が好きだったし、今の貴方を好きなんですよ。ですから不安なく楽しんでください、姉の不祥事は僕が全部なんとかしますから」
そう言ってロームはどんと力強く自分の胸を叩く。
創生神の代わりになどなれるはずもなく、まともに恋などした事ないエルピスからしてみれば数千億年で足りない片思いの相手に突然なるなど心の準備もできて居ない。
だがあの黒い空間に入る前の彼女の喜びと辛さが混じった目を見てしまえば、エルピスにそれを拒絶することなど不可能だ。
それから少しすれば再び黒い空間から彼女が現れ、エルピスは長い間喋って居た様な錯覚に囚われながら腰を起こす。
「ーー終わりました。それでは参りましょうか」
「……本当についてくるの?」
「貴方が創生神の頃の記憶も無くなって、私が誰なのかを覚えてすらいなくて、ただの他人になって居る自分に好意を向けてくることに違和感を覚えている事を理解した上で、貴方のそばに居たいので行きます」
赤い双眸に見つめられ、エルピスは返す言葉を失ってしまう。
なぜ自分にそこまでと言ってしまいたくなるが、こちら側の否定の言葉を全て否定してまで共に来ようとする彼女を止めることはできなかった。
こちら側が彼女の思っていた通りでなければ勝手に帰るだろうと半ば諦めにも近い判断をしたエルピスは、こくりと頭を縦に振った。
「それじゃあロームさん、また会う時があればその時に。手紙助かりました」
「いえいえ。では姉さん、お元気で」
「ええ。またねローム」
改めて転移魔法陣を描き、エルピス達は元の世界へと戻っていく。
こうしてエルピスの隣にまた一人、新しく女神がやってきたのであった。
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