6話

鏡の迷路を移動する。昨日鶏モドキを全滅させたからか昨日と比べて遭遇率が少なかった。めんどくさかったけどしてよかった。

そのまま歩き続け、奥に到着する。


・・・前言撤回、もう少しちゃんとするべきだった。


ダンジョンの出入り口である黒く濁った鏡がある部屋。そこには部屋中ギッシリと埋め尽くすおびただしい数のクトゥルフ卵がいた。


僕はさっそく銃を取り出す。数匹ほど僕に気付いた個体がいたのか叫び声を上げる。すると、その部屋の中にいるすべてのモンスターが僕に向かってくる。


キモイキモイキモイキモイキモイキモイキモイ!!


背筋がゾッとしたが、やることは変わらない。集団撃破の銃を構え、真ん中のクトゥルフ卵に狙いを定めて撃つ。


魔力が四分の一近く消失する。だが、その弾は狙ったモンスターに直撃して消滅する。

それと同時に、部屋の中にいたすべてのクトゥルフ卵も同じように粉砕され、消滅した。


アイテムボックスから魔力回復ポーションを取り出して一気に呷る。

不味い!もう一本と言わんばかりにもう一本、そしてもう一本飲む。魔力が全回復したことを確認する。バングルは副作用があるからあまり使いたくない。だから戦闘中以外はなるべく使用したくないためポーションで回復するようにしている。


すべてのモンスターが消滅し、迷宮省の人からの情報でこのダンジョンで行方をくらませた人数は11人で、勝手に入り込んだ配信者が2人であるため、もうドロップ品はないことは知っている。

だから、あとはモンスターを倒しながら攻略する。それだけだ。


そして、迷宮の中に侵入する。

と同時に銃の引き金を引く。それで僕に飛び掛かってきたクトゥルフ卵が粉砕される。同時に、周囲の同じモンスターが悲鳴を上げながら同じように粉砕される。


が、僕に向かってくる気配に気付き、アイテムボックスから鉤爪を取り出して装備し、その気配の主からの攻撃を防ぐ。

その気配の主はひよこだった。


文字にすると可愛いように思うかもしれないが、おそらくあの鶏モドキの雛だぞ?

目はグチャグチャに潰れており、全身の毛は羽を除いて一本一本が触手になっていて、口から舌の代わりにオマケの触手が出ている。

SAN値チェックする?減少したら発狂しそうだけど。


「ギェェェェ!!」

触手を地面に打ち付けることで一気に僕に突撃してくる。昨日まで使っていた銃で反撃してみるが触手が吹き飛ぶくらいでダメージがなさそうだ。


突進を避けようとするが嫌な気配がして鉤爪を背後に向けて回転しながら振るう。

すると、目の前に触手が伸びてきており、そのままだと僕の首のある場所に届きそうだった。

おそらく、僕の首に巻きつけることで僕の首を絞めながら方向転換しようとしていたのだろう。それに失敗したことでヒヨコモドキは壁に激突してグシャッと嫌な音をたてて潰れた。


僕はその死体に近寄ると銃を向けて発砲する。すると、周囲にいたと思われる同じモンスター達の悲鳴が聞こえてきた。

ダンジョンの中だからと言い聞かせ、ポーションを使わずにバングルで魔力を回復する。

ちなみに、このバングルの回復には違法薬物の成分と同じような効果があり、連続使用をすると中毒になってしまうというものだ。

迷宮省からは中毒になったら拘束するという条件で黙ってもらっている。


そんな副作用を無視できるほどこのバングルは有能で、僕の枯渇しかけていた魔力量を一気に全回回復させることができる。

戦闘中にポーションを飲む余裕がないときや回復が間に合わないという状況をカバーできるのだ。

だからこそ、馬鹿みたいに魔力を消費する銃を使うことができるわけだ。


そのままコアがあると思われる部屋に向けて進む。

道中ヒヨコモドキや寄生された蛇などと遭遇するが、持ち運んでいるヒヨコモドキの死体を銃で撃って防御貫通させて殺し、異能を使って寄生しているモンスターを消滅させて倒す。

時間がありそうな時にポーションを飲んで魔力を回復させる。


この作業を繰り返して進む。そして、その場所に辿り着く。


「やっとあった」


ダンジョンが生まれたところだからかわからないが、洞窟に相応しくない、鏡のドアがあった。

中からかなり強いモンスターの気配がする。どうやら当たりのようだ。


「といっても、コアの守護者の想像はついてるけど」


4種類モンスターがいたが、結局のところ、このダンジョンにいるモンスターは2体だけだ。


鶏と蛇


つまり、そういうことだ。


鉤爪を新しい鉤爪に付け直し、銃もいつでも取り出せるようにする。


そして、扉を開き、その中にへと侵入した。

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