4話

ある程度探索し、モンスターの数を減らす。

どうやらあの鶏モドキは卵のモンスターが進化した姿で、全滅させると卵のモンスターの出現が減少した。


小さい個体も関係なく殺した。むしろ小さいから踏み潰すだけで殺せた。


ある程度殲滅すると一度帰還する。ミラーハウスに戻り、出口まで行くと人の気配がした。スマホで確認すると13時だった。日にちは・・・わお、5日も経ってる。


人目につくとめんどくさいことになると思い、ブーツとポンチョの能力を発動させる。


ポンチョには『違和感なく周囲に紛れ込む』という能力がある。すれ違う人の顔なんていちいち見ないという人間の性質を強化してそこにいるのがあたりまえになる。というものだ。探索や斥候などで重宝している。


ブーツには『速く動きやすくなり、足音も消せる』という能力がある。

これもまた探索や斥候で重宝している。


どちらもドロップ品を加工したものだから再取得はめんどくさいけど。


それらを駆使して誰にも気付かれることなくホテルに向かう。


ホテルの前で能力を切り、エントランスに向かう。そして延長料金と夕食のコース料理の値段を支払うと部屋に行き、眠りについた。


それから数時間が、コース料理を持ってきたホテルスタッフの気配で目が覚める。

運ばれた料理を堪能する。うーむ。ステーキも分厚くて野生的な味だけど、それよりもスープが美味い。生まれてから一度もおかわりしたことがない僕がおかわりを欲しくなるくらいだ。

そう、子供の頃に家で出たカレー以来だ。美味しくて2回もおかわりしたくらいだ。


食べ終わるとスタッフの人を呼んで運んでもらう。いなくなったのを確認すると電話を掛ける。

相手は今井社長だ。とりあえず、途中経過の報告は必要だろう。


『もしもし』

「僕です。虚言です」

蓮田はすださんですか。どうされましたか?』


いきなり本名言われた。別にいいけど。


「途中報告をと思いまして連絡をさせてもらいました」

『なるほど、順調ですか?』

「そうですね。攻略自体は順調です。あと3日ほどで攻略はできそうです」


なんとなく、ダンジョンコアのあるところは検討がついている。いま戻ってきたのはボス戦に向けて疲労を取りたかったからである。ベッドで寝た方が疲れは取れるって。


『それはなによりです。それで?ほかになにかありますか?』

「おそらく、依頼の際に言っていた機密情報らしきものは発見しました。モンスターのドロップ品で出てきました」

『中のデータは確認されましたか?』

「いえ、確認していません」

『そうですか・・・では、後で壊しておいてください』

「その件は後ほど、なにかお聞きしたいことはありますか?」

『そうですね・・・裏切り者は見つかりましたか?』

「おそらく、あのダンジョンにはモンスター固有のドロップ品というものはなさそうです。モンスターが捕食した人間の持ち物がドロップ品になるみたいです。同じものが複数ドロップすることもあるので、おそらく1人の人間を複数のモンスターが捕食した場合、同じものをドロップする個体がそれだけ増えている。ということだと思います」

『なるほど・・・では、やはり最後まで攻略してください』

「わかりました。他には?」

『いえ、もう大丈夫です。裏切り者は死んだということは分かりましたから』

「淡白ですね。自分の社員だったんでしょ?」

『いいえ、裏切り者はもう社員ではありません』

「・・・なるほど、では、攻略後にまた」

『ええ。ありがとうございました』


通話を終了する。

そして、今回のドロップ品を確認し、数を数える。


「13人、か」


ドロップ品に被りはなかった・・・・・・・・・・・・・。少なくともこれだけの人数があのダンジョンに殺されたということになる。

このことは今井社長にも報告して、その上で依頼継続にしてくれた。優しい人だなぁ。

あれ?報告してないんだっけ?どうでもいいや。どっちにしろ、あのまま放置するということはできないわけだし。


明日からの本格的なダンジョン攻略に向けて眠りについた。

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