第15話 姫騎士と共に
こうして私と黒崎さんは有名配信者である姫騎士ヒナちゃんとコラボ配信をする事になった。
憧れの!ヒナちゃんと!一緒にダンジョン行ける!嬉しすぎる!
内心めちゃくちゃウキウキの私。口元もニヤけてしまう。
そうしているとヒナちゃんの配信準備も整ったようだ。コメントを同期してくれた。
「こんヒーナ!姫騎士ヒナちゃんだよ〜!今日はなんと!話題のクーデレ金色姫ことゆいちゃんと!黒衣の剣士こと黒崎勇吾さんとコラボだよー!イェイ☆」
〈こんヒーナ!〉
〈マジでぇ!?〉
〈巷で噂の2人組!〉
わっ!ヒナちゃんのコメント爆速!30万人来てる!
「それじゃ、自己紹介どうぞ!」
「は、はい!こんゆいゆい〜……えと、ゆいです!き、今日よろしくお願いします!」
「黒崎勇吾です。ヒナさんも視聴者さんもよろしくお願いします」
〈ゆいちゃん可愛いー!〉
〈黒崎さんカッコイイ!〉
〈ヒナちゃんと噂の2人がコラボ……感慨深い!〉
〈うちのヒナがお世話になります〉
だから親かあんたは!って私の方にもヒナちゃんのリスナーが来て視聴者30万人……!やばい!
2つのコメント欄の早さに目が回りそうになる。
「そんな緊張しないで〜?敬語も無しでいいし、ヒナちゃんとかヒナって呼んでいーよ!あたしもゆいちゃん勇ちゃんって呼ぶし!」
勇ちゃん!?フレンドリーすぎる!でもヒナちゃんだから許せる〜!
「分かった。よろしくヒナ」
「えと、よろしくね……ヒナちゃん」
「うん、よろしく!」
内なるオタクを暴走させながらも何とか挨拶を終えるのだった。
「それじゃ、まずはパーティになってブリーフィングだね!お互いの手持ちのアイテムやスキル構成を確認するよ!」
「はい!」
「おう!」
そうして送られてきたパーティ申請を受理する。
なっちゃった!ヒナちゃんとパーティ!組んじゃった!嬉しすぎる!もう死んでもいい……!
いや、良くない!これからダンジョンコラボするんだから死んでる場合やない!
おっと、オタクの私ステイステイ。これからブリーフィングなんだから。
内なるオタクを再び押さえ込み手持ちアイテムの情報を共有する。
「うん、回復系も足りてるね。次はスキル構成だね。じゃあゆいちゃんから教えて欲しいなぁ〜?」
「えっ!?は、はい!分かりました!」
ああもう可愛いなぁ!分かりやすい媚び媚びの甘い声好き!助かる!
「えと……杖と紐付けしたマナバレット、猟犬の魔弾、それとバリアです」
「ふむふむ。黒崎さんは?」
「
「OK!私はブライダルソードにブロッサムスラッシュ紐付け、マナバレット、癒しの光、それとバリア2つだね」
レアで強いスキルストーンがいっぱい!凄いなぁ……。私は最近バリアのスキルストーンを買ったり、手に入れた猟犬の魔弾でやっと3つ枠を埋められた。
6つのスキルパレット全然埋まって無いのに対してヒナちゃんはいっぱい埋まっているだ。
沢山お金を稼いだり合成したり、強敵を倒して来たのであろう事が伺える。
「そうだね〜。バリアは2つあった方がいいね!」
「そうなのか?」
「うん!バリアは2枚あると全方位防御ができたり、重ねて強力にしたりできるからね!」
「そうなんですね……!知らなかった……!」
やっぱりハンターとしても知識量が違う!ヒナちゃんすごい!
「って事で一旦ギルドでバリアを買おう!奢るよ!」
「いいんですか!?」
「いいのいいの♪コラボ誘ったのこっちだしこれぐらいさせて貰わなきゃ!もちろん黒崎さんの分もね」
「あ、ありがとうございます……!」
「マジか、ヒナちゃんありがとう」
こうして一度ギルドに戻り、スキルストーンを買ってもらうのだった。
「ありがとうございます!大事に使います!使いこなします!」
「ありがとうヒナ。この礼はダンジョンで返すぜ」
「うん!そうして!」
はぁ〜!ヒナちゃんからプレゼント貰っちゃった!嬉しすぎる!いいのかこんな幸せで!これはもう絶対役に立たないと!
私はより一層気合いを入れるのであった。さて、いよいよダンジョンへ足を踏み入れる。
転送陣に乗り、起動したそれが発する光に包まれた後……私達は氷で出来た大きな通路に立っていた。それと同時に強烈な冷気を感じる。
「寒っ……!」
「息が白いな」
「これはびっくりだね〜!まさかのアイスダンジョンとは!」
文字通り今回は氷の迷宮だ。
「ちょっと体動かして温まろっか?」
「そうだな。指先まで解しとかないと支障が出そうだし」
「分かりました……!うぅ……ホント寒い……」
私達ストレッチをするように体を動かす。すると幾分かマシになった気がする。そうして私達は新たなダンジョンに挑むのであった。
暫く氷の通路を道なりに歩く。陣形は前衛の黒崎さんとヒナちゃん。そして後衛の私だ。
「わっ!ととっ!」
「おっと、大丈夫か?」
足を滑らせてバランスを崩し、黒崎さんの背中にぶつかってしまった。
「す、すみません……!」
「いや、大丈夫だ」
「あはは♪気をつけてね〜……とっ!わああっ!」
「ヒナちゃん!?」
言ったそばからヒナちゃんも足を滑らせてしまう。私は慌てて手を伸ばしその背中を支えた。
「だ、大丈夫……!?」
「ありがとゆいちゃん!助かったよぉ〜!」
「い、いえいえ……!」
お、推しに触れちゃった!しかも感謝されちゃった!
〈ナイスゆいちゃん!〉
〈足元注意だね〉
「う、うん。気をつけないと……」
「もう少しゆっくり行こうか」
「慣れとかないと戦闘中に滑ったら目も当てられないしね〜」
確かに。今は何とかなったが、戦闘中に滑ると大きな隙になる。私の場合は魔法の狙いが外れてしまい、最悪誤射してしまう危険もあるし。
私達は慎重に、1歩1歩氷の床を踏みしめて進むのであった。
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