愛花集

畦道 伊椀

三一詩

春の文

『春の文』


もう少しだけ、待てばいいのです。

あなたに会うためには。

彼女は待てない、とどなたかはいいました。


ですが、春はもうそこまでやってきています。


これまで、幾重もの冷えた冬を喰らい続けてまいりました。

ともに見ていてくださった灯火があることも知らずに。


その灯火が、もう灯火でなくなる日がやってきます。


ですが、わたくしめには、未だ多くの灯火が灯り、これからも日空の下、天下の道々を支えてくれることでしょう。


ありがたい話です☺️。


その灯火を前にして、私はこんな最後の寒冬の前に怖気ずく人間だと思われたくない。


ですから、私は今から、この冬山を踏みしめて征きます。あなたのもとに住むために。

梁を支える柱になります。


あなたなら、私家の竈門に火を入れられます。

竈門だって納得してます。


今は、ただ、怖気ずいているだけなのです。

この故郷の山々を前にして。

美しいとすら口に出来ない、この尊さが、


私を見守ってくれていました。

今は感謝すればいい、

心に秘めるだけにして、毎日を過ごしています。


いつもと変わらず、

ありがとう😊。

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愛花集 畦道 伊椀 @kakuyomenai30

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