日野富子、現代転生して最恐転売ヤーになる!
赤城ハル
プロローグ
「最強のニュータイプは?」
店員が転売対策としてクイズを出す。
「リ◯・ベ◯ナル」
妹は即答した。
「……どうして?」
「死してもなお、3号機を動かせるから」
「では、お会計は──」
どうやら合格したらしい。
妹は会計を済ませて、ガン◯ラが入った紙袋を待って、私のもとに来る。
「もう終わりだよね?」
私は両手に持つ袋を少し掲げて聞く。右の袋はファストファッション店で、左は有名ショップの袋。
「あとはマ◯ク」
「マ◯ク!? パソコン?」
「違う。マ◯ドナ◯ドよ」
服、アクセサリー、おもちゃはまだ分かるがマ◯ク!?
「マ◯ドナ◯ドって、ファーストフード店よ。日野富子さんや、パソコンのマ◯クと間違ってませんかい?」
「間違ってないわよ。マ◯ドナ◯ドのハッ◯ーセットに用があるのよ。あと、日野富子はやめて」
「つまりハッ◯ーセットのおもちゃに用があったというわけね。でも、おもちゃなんて売れるの?」
「売れるわよ。ほら」
妹はスマホを操作して、ウルcowの商品ページを私に見せてきた。画面にはピンク色をしたキャラの手のひらサイズのぬいぐるみが1000円で売られていた。
そういえばこの前、ニュースになっていた。人気のため大行列ができたとか。
「でも、人気なら売り切れてない?」
「大丈夫。これは第一弾。今日から第二弾が始まるの」
「なるほど」
「どう? 一個買うだけで元が取れるのよ」
ハッピー◯ットは400円だから、確かに売れれば元が取れる。
「取れるけどさ。元を取るためにわざわざ買う?」
「転売ヤーは買うのよ」
なぜか自慢げに言う我が妹。
いや、日野富子だ。
読者の皆様におかれましては「日野富子? どういうこと」と感じられますが、実はうちの妹は前世が日野富子なのです。
日野富子。分かり易く説明すると室町時代の将軍の妻であり、息子を
ただ、守銭奴で、権力が好きで、室町時代を衰退化させた応仁の乱を引き起こした人物の1人なのです。
もしこの女さえいなげば将軍の権威が失墜することもなく、室町の時代はまだまだ続いていたでしょう。
そんな悪女と知られる歴史上の人物が我が妹の前世というのだから驚きです。
「クソがっ! 買い占められて『sold out』じゃないの!」
妹はモバイルオーダーでハッ◯ーセットが買えず苛立っていた。
どうやら大量に買い占めした人がいるらしく、店内はハッ◯ーセットが買えずに苛立った大勢の客が喚いている。
「買い占めとか人のする業ではないだろ!」
「とか言っておきながら、あんたも米を買い占めたでしょうに」
「それは前世!」
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