第27話 獣人の思い(リルの場合)
リル視点
ワタシは目の前の規格外な存在に身体が熱くなっていた。
レオンの言葉で森羅の森に来た私の前に現れた竜のミロクさん。
そんなミロクさんの姿にワタシの身体は熱くなり、どこか落ち着かなく身体をモジモジとする。
理由は分かりきっている。
ワタシは物心がついた頃から、竜の出てくる物語が大好きだった。
しかも、1番大好きなのがどの物語にも出てくる竜だった。
圧倒的な力を持ち、神を除けば最強と言える存在は、自身の為に力を使わず、大切と感じた存在を守る為に力を振るう…そんな英雄のような存在にワタシは焦がれた。
でも、竜は絶滅して架空の存在となっていた…そんな竜が目の前に現れた!
そんなの、身体が熱くなって表情がだらしなくなっても仕方ないじゃん!!
ワタシは悶々とそんな事を考えながら、レオンの声が微かに聞こえ、少しイラッと思いながら集落へと帰る為に名残惜しく思いながら歩いていく。
集落に着いたワタシは、村への襲撃を考えるレオンに気づきニアとクシナと共に、ミロクさんの村へと走った。
その心の中に再びミロクさんに会えると言う想いを持ちながら。
ミロクさんとの話し合いの末、ワタシ達は獣人を相手にした後、レオンとも戦おうとしたら、何らかのスキルによって身体が操られてしまい、徐々に服を脱いでいく。
嫌だ…ミロクさん以外にワタシの肌を見られたくない。
そんな事を思っていると、空からミロクさんが降りてきてワタシ達に服を着せて離れさせる。
その後は圧倒と言える程レオンが抗うことすら出来ない力で、何度もレオンを殺すミロクさんが居た。
そんなミロクさんの姿は、英雄とは言えず、魔王のようだった。
そんな姿にワタシは、求めていた愛する英雄ではなかったと落胆するが、隣に居たニアが呟いた『私達の為にあれほどまで怒ってくださるなんて』という言葉を聞き、再びミロクさんを見る。
その身体には怒りを分からせるような赤黒いオーラが纏わりついて、表情は無表情のように感じても内から怒りを感じる。
そんなミロクさんの姿を見てワタシは自身の間違いに気づいた。
ミロクさんはワタシ達の為にあんなに怒って居るのだと。
魔王と英雄なんてものは表裏一体であり、感情によって魔王にも英雄にもなるのだと気づいた。
そんなワタシは、ミロクさんに惚れていると気づきある事を決めた。
ミロクさんが英雄になろうと魔王になろうと一生を捧げてついて行く…そんな事を心に決めた。
「ワタシの身も心も…ミロク様の物だよ!!」
ワタシは、熱を帯びた視線をミロク様に向けてそう呟いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます