3章 獣人の襲来
第14話 村での日常
家と畑が出来て、村での新たな日常に慣れてきた頃。
「ミロク様、ポークボアを取ってきたので、今日の飯は期待しといてください」
「おっ、それは楽しみだな!」
カグツチが、5メートル程のイノシシを引き摺りながら俺に手を振っていたので、俺も返事をして手を振り返す。
カグツチと別れた俺は、ある建物に入った。
「いらっしゃ〜い…って、ミロク様じゃなぁい」
俺が入った建物は、スクナが経営する服屋だった。
「どう?開店の準備は出来た?」
俺がそう聞くと、1着の服を俺の体に合わせながらスクナが口を開く。
「ミロク様はなんでも似合うわね!
えっと、開店の準備よね?
もちろん出来ているわよ。
美蜘蛛の魔糸で編んだ服は綺麗だし簡単には破れないから売れるわよ!」
スクナは、店内にある服を見渡して笑顔で答える。
「この村の奴ら以外にも、買って貰えるように俺も頑張るから一緒に頑張ろうな」
俺はそんなスクナを見ると、一言言ってから建物から出て、散歩を続ける。
「ミロク様…来て」
散歩をしながら出来たばかりの家々を見渡していると、黄泉が俺の手を掴んで何処かに連れていこうと、引っ張って歩き出す。
「ん、着いた」
俺を引っ張って歩くこと数分。
足を止めた黄泉は目の前の建物を指差す。
「ん?黄泉の家?」
連れてこられた場所は黄泉の住む家だった。
俺は黄泉に引っ張られるまま、家の中へと入った。
「…えい」
黄泉は寝室らしき部屋に俺を入れ、俺がベッドに乗るように突き飛ばす。
「へ?」
俺が突然の事で思考が回らないで居ると、黄泉が俺を押さえつけるようにベッドに上がり、俺の上に乗る。
「黄泉…何をしてるのかな?」
俺が黄泉にそう尋ねると、頭を傾けて頭上にはてなマークを浮かべる。
「子作り?」
そんな黄泉の言葉を聞いた俺は、止める為に暴れる。
「ダメ、動かないで」
「いやいや?ちょっと待と?ね?」
俺は静止の言葉を言いながらも、手を、足を動かし、どうにか脱出しようと暴れる。
《マスター!?何をしているんですか!!
早くその女から離れなさい!!》
「ミロク様…じっとして?」
「いや、そうしたいけどね?
出来ないんだよ!!」
俺は脳内に響くイズの叫び声と黄泉の静止の言葉に、思ったままの気持ちを訴える。
「…はっ。これを使えばよかったんだ!
俺は、ある意味冷静になった頭で思いついたまま、行動に起こした。
スキルの
そして、俺はそれを好機と思い、家から飛び出した。
「あれ?ミロク様?」
俺が走っていると、白色のエプロンを着たイザナが俺を呼び止めた。
「おいイザナ!!お前、黄泉に何を教えたんだよ!?」
俺は、黄泉のあの行動は誰かに教わった事だと思い、その犯人をイザナだと考え、問いただすことにした。
「へ?なんのことですか?」
キョトンとするイザナに俺自身も困惑していると、砂埃を上げながら爆速で俺に向けて走ってくる黄泉が見える。
「ミロク様……子作りがまだ、出来てない、よ?」
「…ミロク様?」
黄泉の声を聞いたイザナが、目の笑っていない笑顔で俺を呼ぶ。
「だぁかぁらぁ!!俺は知らないんだって!!
……なんなんだよこれぇ!!」
俺の悲痛な叫びも虚しく、俺と黄泉はイザナに正座をさせられ、黄泉は子作りと言うものを何処で知ったのかを問い詰められ、子作りの重要性等の諸々を一日中イザナに教わる事になり、俺は主の立場で配下の間違った知識を正さなかったことへの数時間の説教で、この慌ただしい1日は終わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます