桃太郎の自堕落な生活

沼津平成

第1話

〜数ヵ月前〜


 桃太郎ももたろうは立派な青年になっていました。両親曰く、桃太郎には実は兄がいたのですが、鬼ヶ島で鬼に殺されたそうです。桃太郎は鬼退治に行って、鬼を討伐することを誓いました……。


〜数時間前〜


 桃太郎は鬼討伐間近でした。仲間である犬・猿・雉はすでに犠牲になっています。彼の力も尽きていました。最後の力を振り絞り、鬼にとどめをさしました。


 鬼が、「待って、僕の子孫……」と言いました。


「知るもんか!」桃太郎は鬼を殺しました……。


 それから……。


         1


 凱旋を終えた青年は、名を茨城桃太いばらきももたといいます。茨城青年は鬼ヶ島に言って鬼を討伐しました。


「やった! 宝物ゲット〜!」


 宝箱をいっぱい拾い集めて凱旋をしている途中、彼はあることを思いつきました。


(待てよ? もう一度鬼ヶ島に行って、そこに住めばお宝いっぱい、ウハウハじゃないか!)


 こうして桃太は、街の警察官や、FNN、新聞記者の依頼を全て断って、鬼ヶ島へ行きました。


          2


 漂流の途中で、ある問題が浮かんできました。食料は魚でいいとして、どう調理しましょう。


 魚のことだからアニサキスが入っている輩もいるに違いありません。


 桃太はひどく心配しました。宝島に着いたとき、彼の体はかなり痩せていました。


 宝島の宝を売ろうにも、商人は来ません。新聞記者も、鬼の残党が残っている夜もしれない島には、さすがに来ませんでした。


「やい!! 新聞記者の弱虫!!」


 その声は洞窟の奥につたわっていき……


           3


 ある鬼が、百年の眠りから覚めました。見ると、人間が一人、そのほかは誰もなし……


 鬼は桃太に突進してきました。桃太はすんでのところで攻撃を交わしました。鬼は勢い余って海に落ち、溺れていきました。


 桃太は、もう鬼になっていました。これでようやく独り占めできるのです……。


           4


 そこへ、一隻の小舟がやってきました。


 小舟には、青年と、メカ、水爆、ミサイルロケットが乗っていました。


「なんだ?」


 というまもなく、鬼はだんだん意識が薄れていきます。そうだ、この青年見たことがあります。——昔の自分です! 子孫が来たぞ!


「待って、僕の子孫……」


「知るもんか!」グサ……じゃなかった、バコーン。こうして鬼は生涯を終えました。

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