案件2.依頼人、原ククリ
リアフルボムの事件から5日が経った。
時期は4月上旬、とある町の外れにポツンと立つ一軒家がある。
ここが
屋根に取り付けられた旗には、
事務所の応接間では、
「おいアゼル、ゲキアツ案件は見つかったか?」
「人に聞く余裕があるなら自分で探せ、その方が
カネリの双子の兄で、
「新人のおれたちができそうな案件、中々ないよね」
「あ、この案件なんてどう?」
「また家事代行かよ、こんな案件やってて救世主になれるか!」
救世主になれば『世界を思い通りに救う力』が与えられるため、
しかし救世主ルニディムが亡くなって以降、彼の後継者は未だ現れていない。
「救世主だと?寝言は寝て言え、
「何だと!?」
「救世主に相応しいのは、この俺だ!」
冷徹なアゼルと熱血なカネリがにらみ合う。
二人は双子の兄妹でありながら、相容れぬ存在なのだ。
「俺は稀代の天才で、お前は単なる馬鹿。なれる
「勝手に決めんな!絶対なって、オレを捨てた
「そもそもお前には、救世主になった後のビジョンが無い」
「俺が救世主になった暁には、
「その時点で勝負はついているんだよ」
「救世主じゃなくて、悪の帝王になるの間違いだろ!」
「オレが救世主になって、お前よりもゲキアツに人を救ってやるぜ!」
「不可能だ」
「絶対なる!」
相容れぬ存在だが、負けず嫌いなところは一緒のようだ。
両者の視線は、さらに激しい火花を散らす。
「大体お前がいつも言ってるブラックって何だよ!」
「やれやれ、もう忘れたのか?」
「合理性、安定感、厳格、高貴、その他諸々を一括して
「わかるか!」
「まあまあ二人とも、案件を探そうよ」
「随分余裕だなボンゴラ」
「お前も救世主になるんだろ!」
「そうだけどさ・・・」
アゼル、カネリ、ボンゴラの三人は、同じ夢を目指す仲間であり
「こうなったら外で案件を探すぜ!」
カネリが立ち上がり玄関へ向かった。
「お前に遅れはとらんぞ!」
「二人とも待ってよ!」
カネリの後をアゼルとボンゴラが追いかける。
カネリが玄関の扉を勢いよく開けると、目の前に女子高生がいた。
三つ編みで眼鏡をかけ、大人しそうな雰囲気だ。
「お願いします、助けて下さい!」
三人は女子高生を応接間へ案内し、ボンゴラは温かいお茶を用意した。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
「わたしは
「案件の内容は?」
「悪い資産家、
「なにぃヤスエだとぉ!?」
「知ってるのカネリ!?」
「知らん!!」
カネリの大げさなリアクションに、ボンゴラとククリはずっこけてしまった。
「紛らわしい反応をするんじゃない」
アゼルが鋭いツッコミを入れる。
気を取り直し、ククリは悲しげな表情で話を続けた。
「2週間前にムーンジュエルをだまし取られ、父と母は私を残し自ら命を絶ちました」
「なんて奴だ!」
「・・・辛かったですね」
怒りに燃えるカネリに対し、ボンゴラはククリに寄り添うように言葉をかけた。
「リアフルボムを倒した、あなたたちを見込んでお願いします」
「あの人から、ムーンジュエルを取り返して下さい!!」
ククリの心からの依頼を受け、カネリは胸を叩き身を乗り出した。
「よし任せろ!ヤスエをゲキアツにして、取り返してやるぜ!!」
「待て、
「作戦を考えないといけないね」
アゼルとボンゴラは、スマホで調べながら作戦を考えた。
「まずは情報収集だな」
「
「俺は外部から調査する」
「その前に原ククリ、一つ聞きたいことがある」
「何故この案件を俺達に依頼した?」
「え!?」
「
「俺達のような新人より、経験豊富な
「貴様が対価を支払う必要は無いからな」
「あ・・・それは・・・」
アゼルの突然の質問に、ククリは非常に困った様子だ。
「アゼル!ククリはオレ達に助けを求めてんだ!オレ達が行かなくてどうすんだよ!!」
「それともビビって行けないのかな〜?黒モヤシく〜ん」
カネリのプークスクスと言わんばかりの態度に、アゼルはムッとした表情で反論した。
「
不安を抱くククリを見かねたボンゴラは、再び言葉をかけた。
「ククリさん、心配しなくて大丈夫です」
「必ずあなたを、この手で救ってみせます。それまで待っていてください」
「・・・ありがとうございます、どうかお願いします」
ククリは不安を拭えずも、案件を引き受けてくれる三人にお辞儀をした。
さあ
To be next case
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