第34話 地獄の始まり

キーン

 爆音の影響で耳鳴りがする中、ゆっくりと目を開ける。

「あれ…?生きてるのか?」

 血が体に大量についていたが、不思議と体には目立った外傷が無かった。

「皆、無事か?え、ウソだろ……?」

 目線の先には誰かの足が転がっていた。

「兄さん!しっかりしてくれ!」

「海智さん、今止血します、気をしっかり持って下さい」

「永夢!手を貸してくれ、頼む、お前医療系に詳しいだろ!?」

 急いで声がする方向に向かう。

「うぉ…マジかよ」

 目の前には、両足が無い海智さんが横たわっていた。腸が少し飛び出ていて、もはや即死して無いのが奇跡だった。

「チッ、クソが、、、ごめんなさい、海智さん、貴方はもう助から無い。皆!諦めて敵と戦え」

「永夢、お前ぇー!」

ドコッ

 いつも温厚な青木が、僕の顔を思いっきしぶん殴った。

「痛いな、なにするんだ急に、もう助から無いのはお前らも理解してるだろ?」

「まだ、助かるかも知れ無いだろ?」

「助かる?即死して無いだけで奇跡だぞ?ここで処置した所で、生きれても数分だ。その間に敵が流れ込んで来て、後は皆揃って嬲り殺しだぞ!」

「でも…それでももしかしたら」

「青木くん、、、もう良いです、ゴフッ」

 海智さんがかすれた声で僕らの言い争いを止めた。

「ハァハァ、私も……自衛官なので分かりますよ、ゴフッ、もう自分は助からないぐらい」

「兄さん、やめてくれよ、そんな事言うの」

「皆、、、さん、弟を頼みます……」

 そう言うと、海智さんの目から光が消えた。

「兄さん?兄さん!?」

「快斗、、、、もう瞳孔が開いてる、死んだよ」

「アァ、アァァ!」

 快斗の目から涙が溢れた。

「お前のせいだ、、、」

「え?」

「お前のせいだ!!」

 そう言いながら快斗が拳銃を向ける。

「おい、落ち着け快斗、コレは誰も、いやあのロボット共を操ってる奴が悪いんだ、な?だから、銃をしまえ」

「兄さんはお前を庇ったから死んだんだ!」

「お前ら仲間割れしてる場合か!敵がすぐそこまで来てるぞ!」

「快斗、今は争っている場合じゃないだろ?」

「アァ、アァァ、分かってるよ、そんなの分かってるよ」

「銃を向ける相手は、外にいる奴らだ」

「そもそも、永夢、俺はお前を信用して無いんだよ!」

「そうかい、何でだ?」

「兄さん仲間と話しているのを聞いた事がある。お前が学校に来なかった空白の三年間、お前が闇の組織にいた事も、人を沢山殺したことも」

「そうかい、で?(一部の生徒にはバレてるのか)」

「なんか、学校内に裏切り物がいるんだろ?ソレはお前だろ?」

「違うよ、根拠が無いだろ」

「きっと、クラスのみんなもそうだ!誰もお前を信用して無い!」

「話しはそれだけか?(誰にも信用して無い訳ね)」

「ここで、お前を殺す」

「快斗、落ち着けって、僕が情報を流す理由が無いだろ?実際に敵をこの手で殺した訳だし(誰か、快斗を止めてくれ、それどころじゃないか)」

「なら、何で僕らの味方をする?」

「それはな……」

パァーン

 僕が返事をしようとした、次の瞬間、快斗が引き金引いた…



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