第35話 徹底抗戦

 銃声が耳に届くと同時に、頬から鮮血が舞う。

ジジッ…ジ

 真後ろで奇妙な機械音がする。

「ここで殺しても、意味が無い」

 快斗は侵入して来たロボットに対して発砲していた。

「おい!二人共大丈夫か?」

「あぁ、問題無い(さっきのロボット、気配が全然無かったぞ、どういう事だ)」

 そして快斗に顔を向けて、質問する。

「何で殺さなかった?」

「ここで殺し合いしても、何の意味も無いだろ?」

「確かにそうだ。でも、本当は違うんだろ?正直に言え、僕を味方だと判断した理由を」

「バードストライクで不時着した時もさっきの手榴弾の時もそうだったが、全部あんたを消す為にやってる様に思えた」

「何でだ?」

「現場には、僕ら以外にも、二年生部隊を乗せたヘリが近くにあったのに、なぜかそっちには目もくれず、俺達に突っ込んで来た。そして、さっきもそうだ、お前に向かって手榴弾が投げ込まれた、コレは明らかにお前に対して強い殺意を持った奴の仕業だろ?誰だか心当たりはあるか?」

「………さぁ?誰だろう(恨みは沢山買ってるはずだが、殺す程か?いや、ソレぐらいされる事は今まで何回もしてきたか)」

「なんか、心当たりあるみたいだな。まだ一つ理由はあるぞ」

「なに?」

「あんたの実力なら簡単に俺の事殺せるだろ?」

「そうだな(やってやるか)」

 そのまま流れるように快斗の手首を捻り、銃を取り上げ、銃口を向ける。

「こんなふうに?バァーン、なんちゃって」

「ふざけてる場合か」

バシッ

 軽く頭を小突かれた。

「おい!二人共、遊んで無いでさっさと手伝え」

「あぁ、今行くよ」

 そして持ち場に戻り、銃を構える。

「なぁこんぶ、さっきの話聞いてたか?」

「あぁ、コイツらの目的はお前なんだろ?」

「申し訳無いな、迷惑かけてるみたいで」

「別に良いよ、悪を討つのが俺達の役目なんだから」

「それと、一つ質問しても良いか?」

「あぁ、良いぞ」

 そして暗闇に照明弾の範囲外に向かって指を指す。

「ロボット以外に何か、向こう側に人間は居るのか?

「なぜそう思う?」

「こんな大勢のロボットが、自分達の意思で動いているとは思え無い。だから、誰かが操っていると僕は考えている」

「なるほどな、だからお前に向けて手榴弾が、2つも投げられたのか」

「コレ、僕出て行った方が良いかな?」

「バカ言え、死ぬぞ」

「冗談だ、ところで見えたか?人間らしき弱点を持った物を」

「んー、どうだろう」

 そして、元晴が暗闇に目をこらす。

「あれか?うん、多分そうだ。いたぞ永夢」

「やっぱりか」

「でも、どうすんだあれ。知った所で何にもならんだろ」

「行動し無いと、ジリ貧だぞ?このまま膠着状態が続いても何のメリットも無い、救助が来るまで耐えれるか?」

「それもそうだな。で、何か案はあるのか?」

「そりゃあ、あるとも」

 そして僕はすぐそこに転がっている、ロボットの残骸を指さした。


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