第25話 先輩

 体育館に行く前に更衣室で体操服に着替える。

「なぁ、こんぶ」

「ん?どうした?」

「部活って能力使って良いのか?」

「まぁ、一様良いみたいだよ、でも無能力者と別れて公式試合だね」

「へぇー、そうなんだ」

「お前、何も知らねえな」

「フッ、しょうがないだろ?僕は三年間学校に居なかったし、部活動何か参加した事無い、浦島太郎状態だぞ?」

 そんな他愛もない話をしていると体育館についた。

「おい!元晴遅ぇぞ?何やってたんだ?」

「すまん、荒木。でも、体験入部の同級生を連れてきたよ」

「マジで?どんな奴だ?」

 すると、僕より身長が10cmほど低い先輩が僕の顔を覗き込んで来た。

「ん?よく見るとお前、アレか?先生達が言っている問題児か?」

「何処でソレを?」

「ちょっと小耳に挟んでな、お前何で人を殺した?」

「急に馴れ馴れしく話し掛けて来るあなたに答える気はありません」

「何だと?テメェー」

 そう言うと、男の目の色が変わり辺りの色んな物が中に浮く。

「喧嘩を売るなら買いますよ(何だ?コイツの能力は)」

「おぉ良いじゃねか、売ってやるよ」

「おい!!待て荒木」

 その次の瞬間、怒声が響いた。

「ごめんな、うちの荒木が、コイツは少し血の気が多くてな。体験入部だよね?部長の小塚だ」

「はい、こちらこそすみません。天宮 永夢です、今日は体験入部で来ました」

「永夢くんか、今日はよろしく。それじゃ自己紹介をしようか、皆!集合!」

 小塚 晴人(こずか はると)男子バレーボール部の部長。能力はFuture(未来)、未来が見えるらしいが3秒先の未来しか見れない。咄嗟の判断力と皆をまとめる力を買われ、部長とになった。ポジションはセッター。

 高田 満(たかた みつる)男子バレーボールの副部長でいつも優しく冷静である。能力はBamboo(竹)、地面から無数の竹を生やすだけの地味な能力だが、かなり強力で、竹は最大20メートルまで伸ばす事が出来る。ポジションはウイングスパイカーだが、あまりスパイクを打つことは少ない。

 柳 蓮太郎(やなぎ れんたろう)能力はKangaroo(カンガルー)、カンガルーは可愛らしいイメージが多いが、実は筋肉ムキムキで、キックやパンチは人間が喰らうと内臓が破裂するほど強力だ。ポジションはスーパーエース。

 中野 龍星(なかの りゅうせい)能力はArmadillo(アルマジロ)、弾丸を弾くほど硬い表皮がある事で有名だが、実はかなり鋭い爪を持っている。ポジションはアウトサイドヒッターだがレシーブのプロでスパイクを打つ事は滅多にない。

 楊 瑠知(よう るいち)能力はElephant(ゾウ)、能力を解放するとアフリカゾウになる、残念ながらバレーボールではこの能力は使え無い。ポジションは裏スーパーエース。瑠知は中学3年生の頃に腰を痛めあだ名が苗字の楊を中国語にするとヤンになるので、ヤン爺と呼ばれている。

 荒木 健一(あらき けんいち)能力はMagnetic field(磁場)、半径3メートル以内の鉄製の物体を磁力で操る事が出来る。肝臓に電気を作る機関が生成されており、エネルギーを電気に変換する事が出来る。ポジションはリベロで、ヤン爺が後衛に来た時にチェンジされる。

「自己紹介は以上かな?ありがとう、ナレーターさん」

 いえいえ。

「待って下さい、小塚先輩、なら後一人足りなく無いですか?」

「そうだよ、僕ら高2は6人いるけど荒木の背が低いから、一人足り無いんだよ」

「うるせぇな!」

「ごめん、ごめんwww。そう言う事で永夢!レギュラーを高1から選別するんだ」

「はい」

「今ならレギュラーになれるかも知れないよ?だからバレーボール部に入らないか?」

「そうですね……」

 その時、校内放送が流れた。

「え~、全校生徒の皆さん、緊急事態です。現在大阪西成で大規模のテロが起きたとの情報が入りました。現在やっている事を早急にやめて、装備を装着し、現地に向かって下さい」

「マジかよ」

 すぐに僕らは武器庫に向かった。

 




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