カマキリ
うらの陽子
プロローグ
薄暗いラブホテルの一室、細長い風船のようなゴムに入った彼の種を見る。五分ほど前、ホテルのドリンクバー、彼の性交相手の女性に貰った。ゴムはまだ少し暖かく彼の体温が残っている気がした。今回の女性は私の提案にあまり嫌悪を示さなかった。お金が必要なのか……。理由は定かではない。お陰で嫌な気分にならず彼の精子を手に入れることができた。
私は、彼とさっきの女の匂いのするゴムにハサミを入れる。そして、慣れた手つきで自分の膣にそのゴムを押し入れた。
今回は妊娠できるだろうか?精子は三時間くらいなら外でも生きられるはず。昨日の朝、体温が上昇してた。今日は下腹部痛もある。今回はきっと妊娠できるはずだ。
父も母も、その他の多くの人間が間違えてるのだ。それは、肉と肉で触れ合ってしまったから。肉が心をかき乱し、魂の繋がりを勘違いさせる。だから、肉と肉で交わるべきじゃない。私は決して間違わない。彼は私の魂の半身。だから、きっと、交わらなくても妊娠できる。彼と私の繋がりを残すことができる。
私は彼の精子を自分の膣に注ぎ込みながら、彼の顔を想像した。
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