第288話
本宮さんの部下は文句を言いながらも女装したまま車から降りて店内に入った。
車内は、私と本宮さん二人になったが暫くのあいだ沈黙が続いた。御手洗がしてきた悪事を包み隠さず話さなければならないのに声が出せない。
今にも心臓が破裂しそうで呼吸を整えるだけで精一杯だった。
「御手洗のことが怖くてしかたないと思いますが心配しなくても大丈夫ですよ。電話でも言いましたが、高瀬さんのことは全力で守りますんで。」
「……ありがとうございます。蓮のこともよろしくお願いします」
「運転していた部下には、ずっと蓮の護衛を任せてたんですよ。空手十段の私よりも強くて頼りになるやつなんです。私が唯一信用してる人間なんです。御手洗の件も絶対にあいつが、なんとかしてくれるはずです。本人に言ったら調子乗るから言わないんですがな。」
「……そうなんですね。御手洗さんには九時半頃に連絡するって言ってたんですが一応連絡しといた方がいいんでしょうか?」
「しなくていいです。これからは御手洗から電話があっても一切出ないようにしてください。あと、今日はあのマンションには帰らないでください。泊まれる場所はこちらで用意してます。」
「……わかりました」
「だいたいのことは蓮から聞いてるんですが高瀬さんからも聞きたいんです。御手洗が今までしてきたことを教えてほしいんですが。あと、勅使河原と御手洗が出会った日のことも詳しく教えてもらってもいいですか?」
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