第257話

「その犯人って、まだ捕まってないんだよね……?」



「まだ捕まってないよ。怖すぎだよね。」



「目撃者はいないって言ってたよね?犯人の性別とか年齢も、まだ全然わかってないんだよね……?」



「いや、それがね?店にいた客が、酔っ払って変なこと言ってたんだよね。なんか、犯人を見たかもしれないとか。」



「犯人を見た……?」



「服に手形みたいな血がついてた男が雨の中、傘も差さずに歩いてたから、不審に思って声かけたんだって。そしたら妖しい笑みを浮かべながら“内緒ね”って言われたとか。まぁ、その客は重度のアル中だし普段から冗談ばっか言う人だから、誰からも信用されてなかったけどね。」



「……その客が見た人って、どんな感じの人だったか聞いた?」



「マスクしてたから雰囲気しかわからなかったらしいけど、十代後半から二十代前半ぐらいの男って言ってた。左目の下辺りにホクロがあって、服装は白のTシャツに黒のズボン。まぁ、200%嘘だと思うけどね。店の女の子をからかって遊んでんのよ。嘘つくのが趣味って自分で言ってたし。あのさ、話変わるけど私ね……?さっきトイレで……」



「美羽……」



「え?」



「寝てもいいかな……」



「へ?あ、うん!私、お風呂入ってくるから寝て?」



「ごめんね。急に睡魔がきて。起きたらゆっくり話そう……」



「うん!明日話すね!!電気消しとくね!!」

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