第249話

誰かに見られているような気がした。大至急自分の車に移動するとエンジンをかけてこの場から離れた。










「おばちゃんの運転久しぶり。ていうか、どこに向かって走ってんの?」



「美羽のアパートだよ……」



「やめろって。俺あの家にはもう帰らないよ?車は置いてきたからそれだけ取りにいくけど。」



「一体どういうつもり……?」



「なにが?」



「なんで御手洗の家なんかに入ったの?あの男が証拠なんか残してるわけない。ていうかなんでアルバム置いてきたの?持ってきてくれたら良かったのに……」



「卒業アルバムなんか意味ない。御手洗のじゃないかもしれないし。俺は別の目的で部屋に入ったんだから。」



「別の目的って?」



「あいつの家に盗聴器仕掛けてやったんだよ。録音式のね。」



「録音……?」



「普通の盗聴器とは違うんだよね。その場で聞くやつじゃなくて、回収してからじゃないと聞けないんだけどさ。絶対見つからない場所に仕掛けてやったからね。」



「…………」




「俺の友達に優秀な警察官がいるって言ったでしょ?本宮っていう名前で面白いオッサンなんだけど。小さい頃からなにかと面倒見てもらってたから友達と言うか父親みたいな人なんだけどね。その人が、御手洗を逮捕してほしいなら、確実な証拠持ってこいって言うからさ。」




「無理だよ……。御手洗は全部屋に防犯カメラ仕掛けてるって言ってた。蓮がしたことは全部バレてるよ。盗聴器も壊されてるに決まってる……」




「全部屋に防犯カメラ……?嘘でしょ?俺の苦労は水の泡だわ。すごいな、あいつ。関心するわ……」




「関心してる場合じゃないから。御手洗は蓮の実家に電話かけてた。明日、弁護士連れて家に行くって言ってたよ……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る