第212話

健の言っていることは正論なのかもしれない。でも私にはゆっくり考えている時間なんてない。離れて暮らしたらそれこそ全てが駄目になるような気がした。




「もしもし、美羽?」



「紫乃……蓮がムカつく……」



「どうしたの?」



「さっき蓮に電話したら、今紫乃のマンションにいるって言うの。今から健くんと話するから邪魔すんなって言われて電話切られた。そこから繋がらない……」



「蓮が健と……?」



「紫乃は、いま家?」



「……私は駐車場にいる。健はさっき家に戻ったけど」



「ちょっと本当に蓮が来てるか見てきてくれない?もしかしたら嘘ついて女と浮気してるかもしれない……」



「……わかった、見てくる」



「蓮ね……?最近冷たいんだよね……。家にいても一日中動画見てるし、夜も一緒に寝てくれないし、お風呂も一緒に入るの嫌がるし……エッチも全然してくれなくなった……」



「……まじで?」



「今日も昼からランチして服買いに行く約束してたのに警察の友達と会うとか言われてドタキャンされたし。私、もう飽きられたのかなぁ……。なんかもう、蓮のことが好きすぎて辛いよ。蓮に別れようって言われたら本気で死ぬかもしれない……」



「やめてやめて!!死ぬとか言わないでよ!!とりあえず見てくるから!!またすぐに連絡する!!」

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