第211話
私たちはマンションの駐車場に着くまで一言も言葉を交わさなかった。御手洗のことで言いたいことは山ほどあったが敢えて何も言わなかった。
あれだけの屈辱を受けたんだ。健はもう二度と私を信じてくれないだろう。
「紫乃。さっきからスマホ鳴ってるけど誰から?」
「……美羽だよ。先に家戻ってて」
「わかった。俺は多分寝てるから別居の話は明日しよ。」
「……本当に別居すんの?」
「するよ。もう決めたから。」
「……健は私と離婚したいの?」
「勘違いすんなよ。離婚したくないから別居するんだよ。このまま一緒に住んでたらそれこそ離婚になるかもしれないよ。今はお互いのために離れた方がいいんだって。一人になってゆっくり考えようよ。てか電話、まだ鳴ってる。早く出てやれよ。」
健は「美羽によろしく」と言って車から降りていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます