第82話

今度はシャンシャンと耳鳴りがする。自律神経失調症の症状が次々と現れてきた。



この異常者と二人の空間になってから、まだ三十分も経っていないのに、既に三ヶ月は監禁されている気分になった。



もうなんでもいい……。一秒でも早くこいつから解放されたい。怖い感情が極限に達して涙が出そうにそうになった。



「葵……愛してる。早く嫁と離婚して私と、結婚して……」



「可愛すぎ。俺も愛してるよ。」



御手洗は私の前髪を上げておでこにキスしたあとソファーから立ち上がって、スマホを手渡してきた。




「返すね。スマホの中身なんて何も見てないよ。そんなことしなくても俺はなんでも調べられるから。」

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