第60話

「いいです……。大丈夫です……」



「よかったわぁ。そしたら、明日さっそくカボチャの煮物作ってきちゃおうかしら。ジャガイモも早く使ってしまいたいから、肉じゃがも作ってくるわね。レシピも持ってくるわね。」



持ってこなくていいですという意味で言ったのに、おもいっきり勘違いされてしまった。普通そこ、勘違いするか?このままでは毎日のように来られそうだ。



この義母に頻繁に来られたら、それこそ本当に私の居場所がなくなる。義母は気さくで優しい。二人でランチや買い物に行ったりしたこともある。



だけど、私はこの人が苦手だ。嫌いというよりは苦手なんだ。会話をしていると精神的に疲れてくる。



ほとんど健の話だ。聞き飽きたというほど同じことを毎回言ってくる。笑っているけど、目が笑っていない。悪意はないんだろうけど、癪に障ることを結構言ってくる。



そして、なんとなく私の家族を見下しているような気がするからだ。




義母は、きっと美羽みたいな子が好きなんだ。実際に『美羽ちゃんは一途だし料理は上手いし私を頼ってくれるから嬉しい。あのこの姑になれる人は幸せね』と口癖のように言っていた。



美羽が好きというより、私のことが嫌いなのかもしれない。



「そういえば弟さん、何しに来る予定だったの?」

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