第51話

健を見送ったあとは、リビングのソファーに座ってぼんやりとテレビを見ていた。どのチャンネルを見ても全く面白いと感じられない。




キッキンテーブルの上には焼肉で使ったホットプレートがそのままの状態で置かれていた。流し台にも洗い物が山ほどたまっているというのに何もする気がおきない。




今日は、母の誕生日で実家に行く予定だったが、祝えるような気分じゃなかったからLINEで断りの連絡をいれた。




このままじゃ廃人になってしまいそうな気がした。洗い物だけでもしようとソファーから立ち上がった瞬間、スマホの着信音が鳴った。





「…………」



相手は私の弟だった。まだ高校生だが、どうしょうもない不良の問題児だ。親は何度学校に頭を下げに行ったかわからない。




暴走族だかなんだか知らないけど、そんな気性が荒い連中とつるんで悪さばっかりしている。




「どうしたの?玲央れおが電話かけてくるなんて珍しいね。また学校で、なんか問題起こしたの?」



「おかん、死ぬほどブチ切れてんぞ。」



「ごめん。今日全然寝てないし気分悪いから行けそうにない。また、近いうち行くって言っといて。高級ケーキ買って持っていくから。」



「違うわ。俺んちのポストに意味わからん内容の手紙が入ってたんだよ。その件で切れてんの。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る