第50話

朝方の五時頃に、やっと睡魔がきてそのまま眠っていた。目が覚めた時は健が会社に行く時間になっていた。



慌ててベッドから起き上がって部屋を出ると健は既にスーツに着替えて玄関先で靴を履いていた。



「……ごめん、起こすの忘れてた。二日酔い大丈夫なの?」



「まだ頭ガンガンするわ。俺昨日、御手洗さんに失礼なこと言ってなかった?全く記憶ないんだけど……」



「……帰ってきたら言う。今日は、絶対寄り道しないで早く帰ってきて」



「なんだよ、気になる。俺なんかやらかした?」



「……帰ってからね。てか、弁当作ってないんだけどどうする?」



「いいよ、どっかで食べてくるから。体調悪そうだけど大丈夫?寝てないの?」



「二時間ぐらいしか寝てない……」



「なんで?やっぱり、なんか心配だわ。御手洗さんとなんかあった?」



頭の中が混乱しすぎて何から話せばいいのかわからなかった。このマンションを売って違う家買おうなんて言ったら健はどんな反応するんだろう。



「健は、私のこと信じてくれる?」



「どういう意味?」



「やっぱり、帰ってから話すわ。いってらっしゃい……」



「わかった、いってきます。絶対早く帰ってくるから。無理すんなよ。」

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