第21話

埒が明かない言い争いは終わることなく続いた。これ以上喧嘩なんてしたくない。




落ち着いて話し合いをしたいのに、冷房の効いていない空間にいるせいか暑がりな健は、いつもに増して機嫌が悪かった。




「ごめん、俺ちょっと外出てくる。こんな部屋にいたら頭おかしくなりそう。」





そう言って車の鍵を手に取ると玄関先に走った。また、このパターンだ。





「どこ行くの?また実家?てか、本当に実家泊まってんの?お義父さん厳しいのに、なんて言ってんの?」



「浮気疑ってんの?」



「毎回毎回、家出ていかれたら疑いたくもなるよ……」



「女なんかいねえよ。とりあえず警察行ってくる。」



「なら、私も行く!!」



「俺一人でいい!!紫乃は、ここにいてよ。すぐ帰ってくるから。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る