18 過去 ――蘇る記録――




「…あった、高槻香奈、…。今回と同じような証人です。―――――――……証言っていってもたった一行ですが」

「こっちにもありました!八年前で、東京都、小料理屋で起きた毒草混入事故の件で、」

「橿原さん、…こっちにもあるんですが、…何なんですか?これは?」

蒼褪めた顔をして斉藤が調書から顔をあげる。

 関、山下、斉藤が互いに顔を見合わせる。

 山下が検索画面のヒットに顔を向ける。

「まだあるようです。…こちらにもみつけました」

「全部事故ですか?山下、おまえのは」

「…こちらも事故です、…何なんですか?これは」

厳しく眉を寄せて山下が答える。

関が手を止める。

「こっちも、事故になってますが、…鷹城の名前があります」

「鷹城君の?みせてください」

「現場に居合わせたようです。…証言をしてますね。…料亭で、」

関が差し出す資料に橿原が目を通す。

「もう少し詳しく調べてみましょう」

何処か堅い声でいう橿原の言葉に茫然としながら関が一度大きく首を振る。

「よし、やるぞ!」

得体の知れない何かの呪縛を切るように、声を上げた関に斉藤と山下が頷く。





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