こんな大河ドラマが見たい！『将門伝』

第26話

タイトル: 「新皇の鉄の血」

第一章：倒れた王、再生の兆し

時は平安時代、平将門の乱の後。父将門の死によって、平家にとって恐るべき存在であった将国（まさくに）は、命からがら常陸の地へと落ち延びた。荒れ果てた戦場で、将国の心は深く傷ついていた。自らが「新皇」を名乗ったのもつかの間、その栄光は崩れ去った。だが、絶望の中、彼は一つの啓示を受け取る。

「神のお告げだ――お前の血を鉄に変え、再び時を駆け抜けろ。」

それは、紀北町の有久寺温泉で彼が夢に見た神の声だった。病に倒れ、身体が次第に衰弱していた将国にとって、その言葉は希望の光だった。将国は温泉の水に浸かりながら、肉体と精神を癒し、次第に不思議な力が湧いてくるのを感じていた。だが、それだけでは足りなかった。

ある日、浮島の漁師の元に、奇妙な老人が現れる。彼は名も無き職人であったが、将国にある技術を授ける。「お前の血を、鉄に変える手立てがある」と言って、その老人は身体に機械的な部品を取り付ける方法を伝授した。それは、当時の技術では理解できないような、精巧な仕組みであった。

将国の身体は、次第にサイボーグへと変貌していく。左腕は鋼のような腕に、足は不死鳥のように再生する義足へと変わり、目もまた精密な光学機器へと進化した。彼の「鉄の血」は、命を支え、力を与えた。

第二章：反乱の兆し

将国が再び動き出す時が来た。常陸から関東へ、そして東国へと歩みを進める中、彼の伝説は再び広がっていった。人々は彼を「新皇の鉄の血」と呼び、恐れと敬意を込めて話し始めた。だが、将国の目指す先はただ一つ、かつての栄光を取り戻すことではなかった。彼が望んでいたのは、戦乱を終わらせ、民のために新たな時代を切り開くことだった。

「今度こそ、無駄な戦を終わらせる。私は死なない。死んだ父の無念を晴らすのだ。」

将国は自らの鉄の身体を頼りに、幾多の戦を乗り越え、次第に東国の支配者となった。その名声は、次第に京をも揺るがすほどに拡大していった。だが、彼が再び権力を手に入れたとき、裏で暗躍する者たちもいた。

第三章：機械の心、血の記憶

将国の子、文国（ふみくに）は、父の道を継ぐべく育てられた。しかし、文国には一つの違和感があった。父の肉体が鉄と化していったその時、何かが失われていたように感じていたのだ。

「父上の心は、もはや人ではない。彼の身体は鉄だが、心はどうだ？」

文国はある日、将国の秘密を暴こうと決意する。父のサイボーグ化には、何か暗い歴史が隠されているに違いない。彼は一人で父の遺物を調査し、遂に父の鉄の血が不老不死をもたらす一方で、精神に異常をきたすことがあるという記録を見つける。それは、彼が受けた「神のお告げ」とは別の、古代の禁断の術に基づくものだった。

文国は、サイボーグ化がもたらした力の裏に隠された呪いを解くため、再び戦いに挑む決意を固める。

「父上、あなたの血を引く者として、私は新たな道を選ぶ。鉄の力を超えて――」

第四章：決戦

平安京で、将国と文国の二つの力が激突する。父はすでに機械のような存在になっており、人間としての感情が薄れていた。一方、文国はまだ人間の心を持ち、父を救うために戦う。しかし、戦いの中で、将国は自身が失ったものを痛感し始める。

「鉄で覆われた心に、もう戻れぬのか……」

激しい戦闘の末、文国はついに父を打倒する。だが、その瞬間、将国の鉄の身体は崩れ落ち、最後に一言だけつぶやいた。

「お前の選んだ道を、信じろ。」

文国は父を葬り、機械の力を使うことなく、平和な時代を築くことを誓った。

終章：新たな時代

戦乱が終わり、平和な時代が訪れた。しかし、文国は父の鉄の血を完全には忘れなかった。彼はその力を使うことなく、時折、父がかつて求めた「新皇」としての責務を思い出し、未来のために尽力し続けた。

「血は変わらず、鉄であっても、心は人間であればこそ――」

将国の鉄の血は、永遠にその記憶として人々の心に刻まれた。