第9話
本編:戦闘と闘志
承平7年(937年)の夏、平安京近郊。
静けさの中、常羽御厩(とこわみのうまや)の周囲に不穏な気配が漂っていた。将門(藤原将門)は、ここで一族と共に暮らしていたが、その日、父・良将や高望王の肖像を掲げて良兼が突如攻め込んできた。良兼は、もともと将門の義兄であり、いささか軋轢を抱えていたものの、このような挑戦的な行動に出た背景には、将門がすでに持っていた反乱者としての名声と、それに対する朝廷の支援を恐れたのかもしれない。
良兼の軍は強大だった。戦の準備が整うと、将門は妻子を守るため、必死で戦闘態勢を整えた。が、強力な敵の前では防戦一方。将門はついに敗走する。妻子は良兼に捕らえられ、彼の軍によって京に連行されることになる。
その敗北から数日後、将門の元に、弟たちの手助けが届く。彼らは将門を取り戻し、再び立ち上がるために闘志を燃やし続けた。
9月10日、ついに将門は再び出奔し、弟たちと共に戦いの準備を整える。彼の家族が戻ってきたことで、将門は力を得た。そして、彼の目は定まった。朝廷に対して、自らの正当性を訴え、戦いを挑む覚悟を決めたのである。
常羽御厩の戦い - 将門の反撃
戦いは激化した。将門が帰還すると、良兼やその家族、さらに貞盛らを追い詰めていった。将門は彼らを追い、筑波山に向かう。戦場は次第に険しく、両軍は血みどろの戦闘を繰り広げた。
良兼の軍の大軍に対し、将門は精鋭の家族と弟たちを従えて戦いに挑んだ。彼の戦術は、いわば隠れた「忍び」の術であった。筑波山に向かう道中では、手勢を分けて奇襲を仕掛け、良兼の軍に思いもよらぬ損害を与えた。将門の指揮により、兵たちは息を吹き返し、長きにわたる戦局の中で一度も力を落とさなかった。
そして、ついに良兼の軍は筑波山の麓で完全に撃退される。将門の名声は、関東一円に鳴り響くこととなった。
キャスト案
1. 藤原将門(演:山田孝之)
知略に長け、理知的で冷徹ながらも家族や部下への深い愛情を持つ。自らの運命を切り拓くために立ち上がる将軍。
2. 平良兼(演:香川照之)
将門の義兄であり、かつ宿命のライバル。冷静で策士、将門との対立を通じてその威信を保ちたいと考える。
3. 平貞盛(演:渡辺謙)
良兼とともに将門に対抗する平家の精鋭。義理堅く、戦の中で自身の信念を貫くが、次第に将門の魅力に引き寄せられていく。
4. 源護(演:中村獅童)
朝廷から将門追討の命を受けた源氏の武士。自らの忠義と、朝廷の命令との板挟みに悩む中で、将門の力強さを徐々に認めていく。
5. 高望王(演:石坂浩二)
将門の戦略に助言を行う賢者。平安京での緊迫した情勢の中、家系の絆を試される。
6. 将門の妻(演:長澤まさみ)
良兼によって連れ去られたが、将門の帰還を待ちわびる強い女性。戦の中でも、家族を守るために献身的に尽力する。
7. 将門の弟(演:三浦春馬)
戦において将門を支え、弟としても心情的に彼を守り抜く。少し無鉄砲で感情的だが、将門への忠誠心は絶対。
8. 高橋(演:安藤サクラ)
将門の軍の中で、最も優れた弓の使い手。冷静で戦の勝利を目指して戦略を立てる。
戦闘シーンの描写
戦闘は非常にリアルで、生き残るための冷徹さが試される。将門が指揮を執るとき、彼は常にその戦術を変化させ、予測不能な攻撃で敵を翻弄する。山道を駆け抜ける騎馬隊、急襲を仕掛ける忍びの者、そして突如現れる弓の矢が敵を撃ち倒すシーンが描かれる。
一方、良兼は強力な防御と計画的な撤退で有名だが、彼の内心では将門の手強さに対する恐れも存在している。それが彼をさらに厳しい戦いに引き込む原因となる。
この戦争の背景には、ただの勢力争い以上に、名誉と忠義、家族を守るための誇りが絡み合っている。将門は、その全てを背負って戦うことになる。
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