第58話 ケイズ・エーカの過去

※エーカ視点


「お父さん!お母さん!」


僕が問いかけると、二人は笑ってこちらへ振り向く。


「どうしたの?ケイズ」


お母さんの優しげな声が、僕の周りを包み込む。


綺麗なエメラルドグリーンの髪に、ピンクの透き通った瞳。


僕の、自慢のお母さん。


「元気だなぁ、ケイズは」


お父さんの低い落ち着いた声が耳に入る。


赤く短いちょっとボサボサの髪に、濃い黄色の瞳。


ちょっと怖い外見をしているけれど、とっても優しく、頼もしい強いお父さん。


本当に、自慢の両親。


「あのね、お庭にね、かわいい猫がいたの!」


「あら、よっぽど可愛かったのね。ケイズがそんなに興奮するのだから」


どこにでもある、平和な日常。


それが、僕にはとても、うれしかった。




===


僕が12歳になった。


事件が起きた。


国内に潜んでいた魔物たちが、王宮へ攻めてきた。


僕は使用人たちに担がれ、安全な場所へと連れて行かれた。


どんなところに行ったのかも、覚えていない。


お父さんは魔物と戦いに行った。


お母さんは、この王宮に勤めている者たちを逃がそうとしに行った。


使用人は、震える声でこう言った。


「何があっても、絶対に私が守りますからね」


それから、どれくらいの時間が経ったのだろうか。


少しだけ、落ち着いてきていたその時だった。



キャアアアアア


ガシャーン


バリーン



すぐ下の方から、悲鳴や物音が聞こえた。


僕はそれに嫌な予感がしたが、何もできなかった。



===


そのあと、一人の兵士さんがきて、ぼくにこう言った。


「私に、ついてきてください」


と。


背中に汗をかく。


しかし、その場にある選択肢は、ついていくことのみ。


少し歩いた先は、王宮の救護室だった。


そこには王宮で働いていた人たちや、兵士さんがいた。


見知った顔の人もいて、ぼくは泣きそうになった。


そして一番奥に行く。


一番奥のベッドで寝ていたのは、左側にお父さん。


右側にお母さん。




どうして?




その時僕の思考は真っ白になって、何も聞こえなくなった。


だけど、こういうことだけ、聞こえてしまう。


泣いている兵士さんが言った。


「―――で、こ、く王様は、お、お亡くなりになられ、ました。この際は―――」


その瞬間僕の意識も消え去って、いつの間にか倒れていた。


最後に思ったことは。



無力なのが悔しい。


強くなりたい。


力が欲しい。



と、言う事だった。




===


第58話投稿しました〜!


どうでもいい話↓


===


作者「エーカくん、ちっちゃい頃は可愛い系だったんですね〜!」


エーカ(母)「そうなのよ〜!あのコロコロっとした感じが最高なのよ〜!それとあの人懐っこい人柄が―――以下略」


作者(イケメン系になったと言い出せない!)


===


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読んで頂き、ありがとうございました~!

<(_ _)>ペコッ








































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