第46話 出会いと別れ

※ラース視点


倒した魔物に目もくれず、クリスさんの方へ走り出す。


クロコさんが、クリスさんを治療している。


でも、悲しいことに、僕にはわかってしまう。


クリスさんは、助からないことが。


もう、魔力など体の中に1ミリたりとも残っておらず、ポーションでも、回復魔法ヒールでも、生命活動に使う魔力は補填できない。


僕は、ゆっくりとクリスさんの方へ向かう。


そしてクリスさんの前にきて、膝を地につける。


涙なんか流さない。


死ぬ直前に見るなら、泣き顔なんかじゃなくて、幸せそうな、笑顔だろ。


にっと笑って、彼にいう。


「ありがとうございます!」


それにクリスさんもにっと笑って、


「じゃあね」


と、言った。


その時、強い風が吹いた。


それは、クリスさんの氷のような、心地よさに包まれていた。


そして、クリスさんが目を閉じる。


クロコさんが、それと同時に、大きな粒の涙を大量に流す。


それに遅れて、僕の頬に、スーッと涙が流れた。


出会いと、別れ。


悲しいことだ。




===

起きた先輩たちに、僕は報告する。


クリスさんが、なくなった―と。


反応は、人それぞれだった。


タグリさんのように、大泣きする人と。


ジャックさんのように、優しさを向ける人と。


ロイドさんのように、静かに涙を流す人と。


ノアのように、悲しさに暮れるものと。


ルークののように、悲しさを我慢しているものと。


リキさんのように、クリスさんに楽に眠れ、と涙を流すものと。


この件は、学園内にすぐに広まった。


あの優しかったクリスさんなのだから、きっと、人望厚い人だったんだろうな、と、考えながら。


きっとに、復讐を誓った。



===

???視点


「ハハッ! ハハハハッ!面白いよ人間ってもんは。命をかけるものの取捨選択もできないだなんて!!!」


暗闇に、不気味な笑い声が響いた。



===

第46話投稿しました!


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読んで頂き、ありがとうございました~!

<(_ _)>ペコッ









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