第5話 ドーバーの悲劇

ドーバーを出撃した揚陸艇8隻と駆逐艦3隻「ドレーク」「コカトリス」「ホーネット」は「ドレーク」を旗艦としフランスのカレーを目指し航行中であったが途中駆逐艦1隻「コカトリス」が揚陸艇1隻と衝突し揚陸艇が真っ二つに折れ沈没「コカトリス」も艦首を失い航行不能となった。

「ドレーク」と「ホーネット」に揚陸艇の乗員を救助した。

フランス救援艦隊司令長官ジョルディ・ラッセル中佐は「ドレーク」の艦橋にて呟いた。

ジョルディ「戦車を乗せている艦で良かったな。」


副長のアベル・リダウト少佐が答える。

アベル「えぇ、戦車はまだもう1隻分はありますし。」 


ジョルディ「だがここでコカトリスを失ったのはしんどいな。」


すると突然警報が艦橋内に鳴り響いた。

ジョルディ「何事だ。」


レーダーによるとかなりの数の航空機が向かって来ているという。

ジョルディ「戦闘配置に就け。対空戦闘用意。」


幸いにも「ドレーク」「ホーネット」には対空火器は本作戦に対応するため強化されていた。

とは言え駆逐艦であるため対空能力に限界がある。

ジョルディ「敵機の機種は何だ?」


その問いに航空参謀のガルトン・カミングス大尉が答える。

がルトン「敵機はシュトゥーカと思われます。戦闘機は見られません。」


ジョルディ「急降下爆撃機か。「ホーネット」に通達。できる限り引き付けろ。と。」


通信参謀のテリー・フィリップス大尉は了解と返答し送信し始める。

突然「ドレーク」の船体が大きく揺れた。

ジョルディ「何事だ。」


士官が急いで艦橋に入ってきて伝えてくる。

士官「艦尾に一発爆弾命中。機関室に火災発生航行不能。」


さらに不幸は重なり「ホーネット」に爆弾が命中し魚雷が誘爆し轟沈したのだ。

ジョルディ「何たることだ。」


ただ揚陸艇には3隻沈没という被害で切り抜けた。

ジョルディ「手痛くやられたな。」


「ドレーク級」は4連装魚雷発射管を2基装備しているが後部に装備されている魚雷は放棄しているため実質4本しか魚雷発射することができない。

すると揚陸艇が海底に引きずり込まれるように沈んでいった。

ジョルディ「何が起きた?」


誰かが叫んだ。「潜水艦による攻撃と思われます。」

ジョルディ「機関室はどうなっている。」


アベル「消火は完了したものの出せる速力は10ノット未満とのこと。」


ジョルディ「反転し漂流者を救助せよ。」


アベル「今は潜水艦が狙っているかもしれません。迂闊に動くのは危険です。」


するとプロペラ音が聞こえ始める。

ジョルディ「敵機か!」


がルトン「いえ、ブレニムにスピットファイアです。」


ジョルディ「味方が来た。」


現状対潜用にブレニムを運用しているが元は爆撃機のためそこまでの対潜能力はない。

漂流者を救助しつつドーバーに戻っていく。

撤退時艦橋内でジョルディが呟く。

ジョルディ「作戦は失敗だな。」


がルトン「長官よろしいでしょうか。」


ジョルディ「かまわんよ。話してみよ。」


がルトン「シュトゥーカが来た方面を考えたらドイツの空軍基地がないんですよ。」


ジョルディ「確かにおかしいとは思ったが。」


がルトン「おそらくですがドイツは空母を有しているのかもしれません。」


その発言が艦橋内を静寂に包みこんだ。


次回に続く







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日本を防衛せよ 飛龍 @F15ex

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