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やっぱり“甘えんぼの大きな犬みたい”。
それが“引っ張って起き上がらせて”の合図だってことを私はじゅうぶんすぎるくらい知っている。
「もう、どこまで手がかかるかな?自分で起きなよ」
文句言いながらもその手を掴むと、ギュッと握り返されて。
私の手に力が込められたと思ったら、次の瞬間、康がベッドからむくっと起き上がった。
「ありがとう亜古」
「どういたしまして」
そのありがとうが嬉しくて思わず頬が緩む。
今度は康が私の手を引っ張って部屋の扉の前まで行き、扉を開けてくれて。
手を離した後はいつも私の背中をポンと押して先にリビングに入らせてくれるんだ。
「亜古ちゃんさすが!この短時間で康を起こせるとか。助かったわありがとう」
「さすがだな亜古ちゃん!」
テーブルに康と私の分の朝食のプレートを並べながら、吉瀬家のお母さんが喜んでくれる。
お父さんも拍手をくれる。
さすが!とかオーバーだよ。って思いながらも、そんな風に喜ばれるのは嬉しい。
どんな小さなことでも頼りにされるのは、私の存在を認めてもらってるみたいで嬉しいんだ。
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