第1話
人に優しく、自分は強く。
それを信じて生きてきた。
困っている人には積極的に手を差し出して、
常に笑って、誰かのそばに居ようとした。
さいとうサンのことを気にしていたのも、
最初は同情に近い感覚だったのかもしれない。
大学に入学してから、彼女の良い噂は聞いたことがない。
男を取っかえ引っ変えしてるだとか、
誘われたら、誰でもいいとか、
そんなのばっかりで、
彼女のことを、嫌悪感と一緒に見ていた。
しばらく観察していると、彼女の些細な行動が、目についた。
誰かに感謝される訳でもないのに、
彼女はまるで空気のように、
当たり前に周りに都合の良いように動いていることに気づいた。
人に優しく、自分は強く。
彼女を見ているとその言葉を思い出すようになった。
みんなが気にしないで歩いている道も、
彼女は、桜の花びらを踏まないように、ゆっくり歩いていた。
儚くて、美しい、女の子だと思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます