第2話
そして私はまた長い長い冬眠を始めた。
う~ん…、あったか~い…
…え、
…あったか~い???
目を覚ますと、私の部屋ではない天井とかたくて重たい昭和レトロな柄のヘンな匂いのする布団。
起き上がると同時に激しく痛む頭。
「いったぁ…」
此処は何処?私は誰??
「おッ!起きたか眠り姫!」
パンツ一丁で歯ブラシをくわえた男が私を見て笑っている。
「こ、これは一体…!?」
状況がイマイチ、というかまったく把握できない私に男はこう言った。
「あらッ!もしかして覚えてない!?」
その言葉にちょっとだけ血の気が引いた。
「ま、ま、まさか…」
ちょっとだけ血の気が引いた後、一気に顔が熱くなる。
「マジで覚えてないの?」
男はニヤニヤしながら私に近付いてきた。
~回想~
薄暗いバーで1人酒を飲む女。
うっすらと涙が浮かぶ目に吸い込まれる男。
「フラれちゃった…」
「俺でよければつきあうよ」
どんどん近付く2人の距離。指を絡め、唇を合わせる。酒のせいか大胆になる。
そして2人は名前も聞かないまま夜景の見える部屋で肌を重ねた。
~Fin~
「んなワケない」
「えっ!?」
「よく見てみ」
両手でベタベタと体を触る。乱れてはいるが服はしっかり着ている。
寝かされていたのは何故かベッドの脇の床、しかも直。枕も何もありゃしない。
掛けられていた布団は、これ絶対干してないだろって独特の匂い。
「でもどうやって運んだの?まさか…お姫様抱っこ?」
「足掴んで引きずった」
「え…」
それってドラマでよくある、犯人が死体運ぶ時みたいなアレ?
「意外と重いし方向転換難しかったわ」
だから頭が痛いのか!だから背中がヒ~リヒリするのか!だから髪の毛こんなホラー映画みたいになってるのか!
男は手を一回叩いた。
「…パン」
チョキを出した。
「…ツー」
まさか…
両腕を上げて丸を作った。
「…まる」
やっぱり…
右手の親指と人差し指で小さな丸を作り目にあてた。
「…見え」
「オッケーイ!」
男は嬉しそうにウインクして親指を突き出した。
「……」
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