第2話
高校1年の夏休み。
私は朝から晩までバイトに明け暮れていた。
私のバイトは母がよく行くスーパーのレジ。家から徒歩5分。
ある日の夕方。
いつものようにバイトをしていたら、中学の時にただ見てるだけの恋をしていた2歳年上の先輩が来た。
先輩はコーラ2本とガムとポテトチップスを私のレジに持ってきた。
「いらっしゃいませ」
わあ…相変わらずかっこいい。
けど、私の事なんて覚えてないんだろうな…覚えてるわけない。
「…あれっ!?中学同じだったよね!?」
すごく軽いノリで、しかもやたら大きな声で話し掛けてきたからビックリした。
私の事、覚えててくれたのは嬉しかったけど。
でも私はバイト中、ましてやバイトを始めてまだ数ヶ月。
ベテランレジパートさんと常連さんの会話とはワケが違う。
そ、そうですね的な顔で先輩に軽く会釈をする。
「398円になります」
私は新入りレジバイトです。
「ああ、はい」
先輩は500円玉をトレーに出した。
「500円お預かりします」
先輩の視線を感じながらいつも通りのレジ作業。
先輩は、私の事が誰だかわからなくて必死に思い出してくれているのだろうか。
「102円のお返しです」
なんだか妙に恥ずかしくて、レシートとお釣りの小銭を先輩の手に触れないようにめちゃくちゃ上からジャラジャラと落とすように渡してしまった。
「ありがとうございましたー」
…ありえない。
なんて雑な女なんだ、って思われたかもしれない。いつもはもっと丁寧にお釣り渡してるのに。失敗した。
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