第13話 勇者ハジメ1
オオバさんとは別行動にされて、彼はそのまま帰ってこなかった。
その日の夜、勇者の歓迎会が行われた。
「オオバさんはどうしたんですか」
ハジメは兵士に聞く。
「オオバどのは城を出られました」
「城をでた?自分からですか?」
「はい。己の弱さを悲観いたしまして 自ら城を出たと聞いています」
「おかしいですよ。そんな素振りは見せませんでしたよ」
「思い悩んで、止めたそうですが振り切って出て行ったそうです」
おかしい。
昨日は「ハジメくん全力で守ってね」といってたのに。
そんな人が急に城を出ると言うだろうか。
同じく召喚された僕に何も言わずにでていくだろうか。
オオバさんはそんな人ではない。
「誰か、城を出るところを見た人はいますか?」
「わかりません。自分は兵長から聞きましたので」
ハジメは兵長アクーダにオオバのことを聞きに行った。
「アクーダさん オオバさんが出て行ったと聞きましたが本当ですか」
「ハジメどの。ええ オオバどのは思い悩み、城から出ていかれました」
「どこへいったか わかりますか」
「いえ、行先はわかりません」
「追わないんですか。召喚した勇者ですよ」
「ですが、本人の意思を尊重しようと思っています」
「だったら僕も城を出ます」
「いえ それは困ります。ハジメどのは勇者さまです」
「オオバさんだって勇者ですよ」
「彼は違います。ステータスがあまりにも低すぎる。スキルも使用不可の文字化けです」
「オオバさんを探してください。同郷なんです」
「わかりました。オオバどのを探しましょう。ただ、見つけられるかは保証できません」
・・・・・・・・
国王ワルダーと宰相コソークの会話
「兵長からの報告でオオバサンタロウを魔の森に捨ててきたとのことです」
「そうか。ならば もう生きてはいまい」
「はい。確実に死んだものかと。しかし、勇者ハジメがオオバを探すようにアクーダに頼んだようです」
「まあ 気が済むまで探させるといい。見つかるはずないだろうがな」
ハジメも時間があるときはオオバを捜索した。
しかし、見つかることはなかった。
ハジメはオオバが追放されたのではないかと疑いを持ち、城を探るのだった。
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