スキル【空間ポケット】で異世界を生き抜く
初心者太郎arukado
第1話 異世界へ転移
目が覚めると知らない天井だった。
「ここは」
「眼が覚めましたか。ここはジャックナ孤児院です。あなたは1日眠ったままだったのですよ」
若いシスター風の女性が椅子に座ったまま話しかけてきた。
「俺は助かったのか」
・・・・・・・・
俺は大場三太郎 30才
小佃煮製作所に勤務するイケメンサラリーマン(自称)だ。
会社は食品製造がメインだが、別でロケットエンジンのバルブを作る部署もある。
俺が所属するところは佃煮を製造している食品部門だ。
新卒で入社して12年勤務しているベテランでもある。
むかし「名前、何て呼んだらいいですか?」と聞かれて、「大場か三太郎 どっちでもいいですよ」と言ったら、「オオバカサンタロウですか!」と言われて「いやいや、繋げないでよ。大場 か 三太郎 どっちか(名字か名前)ね」といったことがある。
それがきっかけてオオバカサンタロウと呼ぶやつが出てきて、ぶち切れて暴れたこともあるが、会社勤務は問題ない。
ロケットエンジンの部品を作る部署には同じ新卒で入社した和田平作(わだへいさく)がいた。
2年前、彼はロケットエンジン関連のことで会社が訴えられ、会社存続のため社員を減らし契約社員を増やす方針になったとき、退職してしまった。
もう一人、同じ新卒入社で佃煮を梱包する部署に垂望越夫(たれもこしお)という社員がいたが、彼も平作と同じ時期に退職してしまった。
その後、会社は持ち直して存続しているが、部署は違えど同じ会社に勤め、飲み仲間でもあった二人が辞めてしまったのは悲しい。
3人で飲み歩いたりしていたが、それも出来なくなった。
寂しい思いもあったが、徐々に慣れていき俺は辞めずに仕事を頑張っている。
今日も仕事を終え、会社の帰り、家へと歩いている。
明日も同じ日常が待っているのかと思うと退屈に思うこともある。
しかし、同じ日常こそが平穏な証しでもある。
前を歩く高校生も同じ日常があるのだろう。
「明日もなんとなく頑張るか」と心の中で思っていると、とつぜん足元が光りだした。
「なんだこれは?」
「うわー 足元が光ってる」
前を歩いていた高校生も光の中にいた。
そして、俺と高校生は光に包まれた。
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